研究課題/領域番号 |
18K13060
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研究機関 | 都留文科大学 |
研究代表者 |
堤 英俊 都留文科大学, 教養学部, 准教授 (60734936)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | インクルーシブ教育 / 異文化間教育 / 障害児教育 / 小学校 / 学級文化 |
研究実績の概要 |
インクルーシブ教育とは、多様な理由により社会的に周縁化されやすい子どもとそうでない子どもとが地域の学校で共に学ぶ教育のことである。ユネスコのサラマンカ宣言や国連の障害者権利条約において提起され、いまや先進諸国では教育政策の道筋を規定する指標となってきている。 こうした動向を背景に、本研究は、潜在的に「同質化」と「差異の一元化」を進める傾向が強いとされる日本の公立小学校において、「差異・異質性の尊重」の方向へと学校文化(学級文化)を変革していくために、現場の教師に(過度の無理なく)何ができるのかについて明らかにすることを目的としている。 2年目にあたる2019年度は、以下の2点を中心として研究を進めてきた。 第一に、欧米圏の障害を視野に入れた異文化間教育学に関する先行研究の収集とレビューを行った。2019年度は、主に、ヘンリー・ジルーとスーザン・カリントンの単著・共著の文献を収集して翻訳を行い、コード化とカテゴリー化の作業を行った。同時に、国内の研究者を訪問して意見交流を行い、有益なコメントを得ることができた。 第二に、海外においてインクルーシブな学級文化の創造に向けた取り組みに関する調査を実施して、インクルーシブ教育に関わる教育政策についての資料収集に加え、データ収集を行った。具体的には、多民族社会であるオーストラリアのクイーンズランド州を訪問した。具体的には、ある特定の公立小学校と特別学校に一定期間入らせていただいて参与観察と教員インタビューを実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度に計画していた、①先行研究のレビュー、②海外の学校訪問調査(オーストラリア・台湾)、③国内の学校調査(公立小学校の教師1・2名に対してインタビュー)に関して、①と②については、昨年度からの取り組みを継続し、順調かつ着実に進展している。一方で、フィールドとの兼ね合いから、海外調査について、2019年度は、台湾調査については実施できず、国内調査についても、調査協力者と日程調整(学校を訪問した上での対面でのインタビュー調査)が折り合わず実施できなかった。とりわけ、国内調査について、次年度での挽回が望まれる。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度も、当初の計画の趣旨に則って、次の3点に関して取り組みたい。(1)2018・2019年度に行った先行研究の翻訳・レビューを文章化する。(2)2018・2019年度に実施した、オーストラリアと台湾における訪問調査で収集したデータを分析し、文章化する。そして、(3)国内の公立小学校の教師1・2名に対して、オンラインを通して半構造化インタビューを実施する。新型コロナウィルスの影響から、海外調査、国内調査を実地で行うことが難しいと考えられるため、2020年度は、データ分析と文章化、オンラインツールを利用した調査に重点を置いて取り組むことにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の研究では、海外調査と国内調査において、回数を減らしたことにより、それに伴って支出が減額することになった。また、海外調査におけるコーディネーターへの謝金を用意していたが、必要とならず、謝金の支出が抑えられる結果となった。次年度は、効果的かつ円滑な研究費の執行に努めたい。
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