本年度は(1)地方財政や政治学・行政学に関する先行研究の整理、(2)データセットの継続的な構築を継続的に行った。(1)については、国内外における行政学、財政学、政治学等の文献を収集し、先行研究の整理を行った。特に財政支出に関連する政治や社会的背景について分析枠組み構築を行っている。昨年度韓国の研究者と実施した共同研究の報告書から最新の韓国の事例についても情報を得ることができた。(2)については、入力の補助者を雇用してデータセットの作成と整備を行った。特に社会経済的背景や県議会での党派制を意識し、各県における社会経済的データ(人口・都市化度・消費者物価指数など)や県議会における首長の所属会派や与党会派とその比率を中心にデータセット作成を行った。可能な限り年度を遡って収集して入力した。集めたデータをもとに分析は実施しているが、県間差をもたらす要因の解明には至っておらず、現状では分析の成果を報告することができていない。また、韓国の研究者との共同研究で刊行した報告書には日本における公私連携の例として公私立高校の制度分析を執筆・掲載した。また、本報告書をもとにしたウェビナーを実施し、日本の事例についての報告も行っている。一方で、実施予定であったアンケート調査については、アンケートの回収率が期待できなかったために中止した。また、事例調査についても実施を中止した。また、学会大会がオンライン開催となっていた。その関係で、基本的には入手したデータでの分析が本研究課題の主な進捗となっており、当初計上した旅費関係の予算は未執行となっている。
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