研究課題/領域番号 |
18K13080
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研究機関 | 日本赤十字秋田看護大学 |
研究代表者 |
丸井 淑美 日本赤十字秋田看護大学, 看護学部看護学科, 教授 (00814998)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 性の多様性 / 教育課程 / 授業 / 日豪比較 |
研究実績の概要 |
日本とオーストラリアで学校における性教育がどのように教育課程に位置づけられているか比較検討するため、日本とオーストラリアの中学校、高等学校の保健体育科教員に対し、性に関する指導の指導法、および性に関する指導で使用している教材について、また教員養成時代に性の関係性や人権について学修したかについて、インタビューを実施した。さらに、2016年に西オーストラリア州家族計画協会 (SHQ)が 独自に研究開発した健康教育プログラム「RELATE」について分析を行うため、西オーストラリア州保健省に勤務していて、「RELATE」プロジェクトチームの代表であったSharelle Tulloh氏のインタビューを行った。 その後、西オーストラリア州パースにある公立高校に協力を依頼し、「RELATE」を使った授業の見学を行うとともに、この教材に対する西オーストラリア州の教師たちの意見や感想、生徒の反応についてインタビュー形式で調査を実施し、研究の総括を行う予定であったが、新型コロナ感染症の世界的な流行によりオーストラリアへの外国人の入国が2022年2月20日まで制限されていたこと、入国後の隔離措置等により調査を断念した。そのため、日本国内の教員、行政担当者を対象とした「性の多様性の授業実践」に関するインタビュー調査および量的調査を他の研究者と共同で実施した。 昨年度は、引き続き西オーストラリア州パースにある公立高校での授業見学する計画を立てていたものの、日本国内における新型コロナ感染症の継続的な流行により、勤務校より渡航許可が下りなかったため計画は遂行されなかった。そのため、日本国内の教員、行政担当者を対象とした「性の多様性の授業実践」に関するインタビュー調査および量的調査を他の研究者と共同で実施し収集したデータの分析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナ感染症の世界的な流行により、予定していた現地での授業研究及びインタビュー調査ができず研究の進行が遅滞した。さらに、研究者の所属機関変更に伴い、大学業務に係る割合が増加したことにより研究エフォート率が低下したため。
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今後の研究の推進方策 |
研究の最終年度として、引き続きオーストラリアの学校の教育課程に関する情報収集を行い、オーストラリアの教育システムについて分析する予定である。また、西オーストラリア州パースにある公立高校に協力を依頼し、通常の性に関する指導および「RELATE」を使った授業を見学するとともに、この教材がどれほどの頻度で使用されているか、またこの教材に対する西オーストラリア州の教師たちの意見や感想、生徒の反応についてインタビュー形式で調査を実施する予定である。ただし、学校教育における「RELATE」の活用状況については、経年変化がみられる可能性も考えられるため、渡豪前に情報収集を行う予定である。 さらに、2021~2022年度にかけて日本の小学校、中学校、高等学校の教員に対し、性の多様性を含む性に関する指導の実践について、他の研究者と共同して質的調査(インタビュー)および量的調査を実施しデータを収集・分析しているので、これらをまとめ学会誌に投稿するである。 現在日本の学習指導要領の中で性に関する指導について取り扱われている内容は、科学的知識が大部分であり、性の人間関係や人権的側面にはほとんど触れていないことから、CSE(包括的性教育)との関連や性教育教材の分析についてまとめるとともに、研究全体の総括を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の流行により当初計画していた研究が遅滞したため、予定していた調査研究ができなかったから。 最終年度では、新型コロナ感染症の動向を観察しつつ可能であればオーストラリアにおける追加調査を行うとともに研究の総括を行う予定である。
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