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2022 年度 実施状況報告書

戦時下日本の高等教育機関における「文化交流」の教育的機能に関する基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K13081
研究機関筑紫女学園大学

研究代表者

山本 尚史  筑紫女学園大学, 人間科学部, 講師 (90767542)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2024-03-31
キーワード国際理解 / 国際教育 / 文化交流 / 外務省
研究実績の概要

本年度は、休業期間前から継続している大正期の「国際教育」概念の検討を行った。引き続き『国際教育の理論及実際』をもとに、当時の「国際教育」がどのようなものとして提示されていたのかの確認を進めた。井上哲次郎は国家の政治体制の違いによる「道徳」観念の差異と、そこから捉えられる「国際」概念をもとに日本に求められる「国際教育」を提示していた。それは「教育」が国境・国家・人種を超える性質を持つものという認識のもとに「国際教育」を定義したものであり、国家を超えるような「国際」認識の形成の可能性を見出している。
また、社会教育の乗杉嘉壽に着目して「国際教育」概念の読み取りを行った。人間が本来的に有する認識・認知の範囲は小規模・小集団によるものであり、本然的に大規模な社会・集団には適さないという性質を持つとされている。乗杉はそのような規模の大小を乗り越えて、人間が社会生活を送る中で境界を超える術として「国際教育」を挙げている。ここでも井上と同様に国境・国家・人種をどのように超えるか・克服していくか、という視点が重視されている。
このような研究の状況を踏まえ、拙稿「1920年代における「国際教育」の理論化に関する一考察 ―『国際教育の理論及実際』に見る概念提示の様相―」『筑紫女学園大学教育実践研究』、筑紫女学園大学実習支援センター、2023年3月、を執筆し、成果を公開した。
この研究成果により、大正時代に提示された「国際教育」概念において国境・国家・人種を超越するような視点が見出されていたこと、そしてそれが出版物として普及する試みがとられていたことが明らかになり、研究課題の遂行上、有益な視点を得ることとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

昨年冬に育児休業期間から復帰し、研究時間の確保が十分にできなかった。また、休業取得前はコロナ禍による史料調査等を実施する上での制約が相当あり、十分な調査を実施できなかったため。しかし、「国際教育」の概念について検討は昨年度から継続して行えたため、「遅れている」ではなく、「やや遅れている」と評価した。

今後の研究の推進方策

次年度は、大正、昭和戦前期に「国際教育」を主張した官僚等の論稿を渉猟するとともに、これまで検討してきた「国際教育」概念について研究課題に照らして高等教育機関でどのような様相を見せていたのかを検討したい。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた理由は、育児休業取得に伴い、2022年度に十分な研究期間が確保できなかったためである。次年度は、国会図書館等において史料収集を行うとともに、「国際教育」を主張した官僚等の論稿を同図書館に複写依頼を行う。また大学史研究会において研究発表を予定しているため、その出張旅費として使用する計画である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 「1920年代における「国際教育」の理論化に関する一考察 ―『国際教育の理論及実際』に見る概念提示の様相―」2023

    • 著者名/発表者名
      山本尚史
    • 雑誌名

      筑紫女学園大学教育実践研究

      巻: 9 ページ: 99-108

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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