本研究では、子どもに対する親の進学期待(子どもにどの教育段階までの進学を期待しているか)に着目した計量分析をとおして、出身背景による教育達成の格差が生み出されるプロセスについて検討した。子どもの進学期待は父親の進学期待よりも母親の進学期待と強く関連しているが、子どもの進学期待の規定要因としては父親の進学期待も無視できないことが示された。また、子どもの学業成績と母親の進学期待との関係が子どもの学年段階によって異なること、さらに子どもの性別や母親の学歴によっても異なることが示された。このことが教育達成の男女間格差や出身階層間格差につながっている可能性が示唆される。
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