研究課題/領域番号 |
18K13086
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 史子 東京大学, 教養学部, 特任講師 (80751544)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 多文化社会 / 移民 / マイノリティ / 多文化教育 / 特権性 / 日本人性 / 文化的に適切な指導 |
研究実績の概要 |
2020年度の主な研究実績は、下記の3点にまとめられる。 ①前年度より継続して、多文化社会における教員の役割や指導法に関する英語・日本語による先行研究のレビューを行った。主にアメリカにおいて’80年代以降発展してきた多文化指導(multicultural teaching)や文化的に適切な指導(culturally responsive teaching)に関する研究や、エスニックマイノリティ生徒に対する教員の態度に関する研究、多様な学校・学級における白人性(whiteness)に関する研究知見をまとめ、日本の文脈に照らして、教員が子どもたちの民族的・文化的多様性に対応するための教員養成プログラムの検討を念頭におきながら、多文化社会における教員の役割や必要なスキルについて考察を進めている。成果の一部を、教職用テキストとして執筆した。 ②新型コロナウィルス感染拡大の影響に伴い、小学校を対象として予定していたフィールドワークおよび教員を対象とした質問紙調査の実施が難しくなっている。教員を対象とした調査については、継続して実施を試み、今後実施できるタイミングがあれば行いたい。 ③フィールドワークの延期(中止の可能性有り)にともない、研究計画を一部変更した。コロナ禍で学校閉鎖等の措置が移民の子どもや若者の教育機会やウェルビーイングにどのような影響を与えているのかについて、日本およびイギリスを事例として調査を行った。成果の一部を投稿、発表した。2021年度も継続予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルスの感染拡大により国内外での調査が難しいため、実施を中止し、計画を変更したため。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルスの感染状況に収束が見えづらいため、イギリスでのフィールドワークを取りやめ、国内でのフィールドも可能な範囲で限定的に行う。 多文化社会における教員の役割や指導法に関する文献調査および資料収集については、引き続き継続する。 イギリスの教員養成・研修プログラムの中で、子どもたちの文化的多様性がどのように認識され、教員にどのような役割やスキルが求められているかを分析する。 国内の外国人集住地域においては、小学校教員への質問紙調査の実施を試みるほか、コロナ禍が移民の子どもや若者の教育・ウェルビーイング・社会参加に与える影響について調査分析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
イギリスでの学会発表が中止となり、渡航費のキャンセル料が発生し、残額を2021年度に持ち越した。国内フィールドワーク、質問紙調査、資料収集、データ整理、成果発表のために予算を執行する予定である。
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