日本で長年積み重ねられてきた教育実践であるにもかかわらず、実証的研究がほとんどなされてこなかった「家庭訪問」について、全国的に廃止・縮小の流れが加速するタイミングで、家庭訪問を重視する教員のみならず、消極的な教員も含めてデータを収集・検討できた意義は大きい。「子どもの貧困」の発見機能を期待される学校において、教師が子どもたちの家庭背景・生活背景をどのように把握し指導に生かそうとしているかを明らかにすることは、格差・貧困と教育をめぐる研究の学術的発展に寄与するだけでなく、学校を拠点とした子どもの貧困対策の推進に向けても重要な基礎資料となりうる。
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