研究課題
本研究の目的は、地域参加型研究(CBPR)のアプローチを用いて、日本とアメリカの地域コミュニティで移民の若者支援を行う人々と協働し、教育支援の有り様を検討し、実践の改善を目指すとともに、今後さらに発展が望まれる地域による教育支援のあり方への示唆を提供することである。平成30年度は、理論・先行研究の検討をし、日米でフィールドワークを行い、研究成果の発表を行った。1.理論・先行研究の検討:教育社会学、教育人類学、比較教育学、移民研究など、関連する領域の理論・先行研究を幅広く検討し、整理・考察した。2.フィールドワーク:参加型アクションリサーチのアプローチから、日本およびアメリカでフィールドワークを行った。日本では、高校やNPOと協働して、居場所づくりの実践に取り組み、現状の分析やふりかえりを重ね、協働のあり方の考察も深めた。8月には、アメリカの2都市で、複数のNPOと大学を訪問し、移民の若者への教育支援に関するインタビューや参与観察を行った。大学が地域へのアウトリーチを行い、NPOと連携してプログラムづくりに取り組み、大学でサービスラーニングの授業を開講するなど、エンパワメントの協働実践モデルが構築されていることが分かった。3.研究成果の発表:これまでの研究・実践の成果を国内外の学会や講演会等で発表し、Children and Globalization(Routledge社)に掲載予定の章の執筆、海外の研究者との共著論文の執筆も進めた。さらに実践者とのネットワークを構築し、共に移民の若者のエンパワメントと居場所づくりに関する情報共有、実践の発信、提言を行った。
2: おおむね順調に進展している
理論・先行研究の検討を進めつつ、参加型アクションリサーチの考え方に基づいて、日本とアメリカでフィールドワークを行った。特に、日本では実践者と協働して、移民の若者のエンパワメントと居場所づくりに関する実践づくり、実践の発信や提言を行った。
平成31年度は、主に参加型アクションリサーチに関する理論・先行研究の検討をしつつ、日本で実践者と協働してエンパワメントと居場所づくりに関する実践と研究を進める。これまでの成果を実践者と協働して国内学会等で発表し、論文や報告書の執筆を進めたい。また、日本やアメリカ、カナダで先進的な取り組みをするNPOや大学を訪問し、短期的な調査も行いたい。
英語論文の校閲に使用予定であった予算([人件費・謝金」)があったが、校閲の必要がなくなったため、次年度に繰り越すこととした。
すべて 2019 2018
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Background Paper commissioned for Global Education Monitoring Report 2019, Migration, Displacement and Education: Building Bridges, not Walls
巻: NA ページ: 1-16