研究課題/領域番号 |
18K13094
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
徳永 智子 筑波大学, 人間系, 助教 (60751287)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 居場所 / 教育支援 / 移民 / 参加型アクションリサーチ / エンパワメント / 日米比較 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、参加型アクションリサーチ(PAR)のアプローチから、日本とアメリカで移民の若者の教育支援を行う学校やNPOと協働し、居場所づくりやエンパワメントの実践の改善を目指すとともに、今後日本でさらに発展が望まれる地域による教育支援のあり方への示唆を提供することである。 令和2年度は、前年度に引き続き移民の教育支援やPARに関する先行研究を検討しつつ、これまで収集したデータの分析を進め、研究成果の発表を行った。アメリカ東海岸の中華街で中国系移民の教育支援を行うNPOと協働し、移民高校生の居場所づくりを目指した参加型アクションリサーチの可能性と課題を考察し、日本教育社会学会の年次大会で発表した。関連して、当該NPOによる中国系移民生徒への教育支援の諸相について検討し、その内容を分担執筆した。また、国内の高校とNPOと協働し、移民の若者の居場所づくりとエンパワメントを目的とした部活づくりの実践についても、多様なアクターとの協働のプロセス、居場所としての機能、移民の若者と共に行うPARの可能性と課題などについて検討し、成果の一部は日本教育学会の英文ジャーナルで発表した。さらに、アメリカでマイノリティの子ども・若者と共にPARを行う研究者らとオンラインの研究会を行い、「教育における参加型アクションリサーチ」の特集を組み、国際学術誌に投稿した。今後のPARの国際共同研究の発展につなげたい。コロナ禍でフィールドワークは実施できていないが、移民の若者のエンパワメントを目的としたオンラインによる若者参加型アクションリサーチ(YPAR)を試行的に実施し、次年度以降さらに発展させていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、アメリカで予定していた調査を行えず、日本での参加型アクションリサーチの実施も困難となり、実施計画の予定からはやや遅れている。しかし、教育分野におけるPARの先行研究を整理し、これまで収集したデータの分析を進め、その成果を国内外の学会や学術論文・著書(分担執筆)として発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は最終年度であるが、昨年度に引き続き新型コロナウイルス感染拡大の影響で、日米で参加型アクションリサーチを実施するのは困難であることが予想される。そのため、調査内容や実施方法を変更し、令和2年度に始めたオンラインによる若者参加型アクションリサーチ(YPAR)を発展させ、YPARの先駆的な取り組みが見られるアメリカの大学やNPOとオンラインで交流し、ネットワークづくりにも力を入れたい。研究成果の発信にもさらに力を入れ、国内外の学会での発表や論文の執筆と共に、PARのアプローチに基づき、実践者や当事者の若者と協働してこれまでの成果を著書としてまとめ、移民の若者の教育支援についての実践的示唆や政策的示唆へとつなげたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、アメリカでの調査や国際学会での発表を延期したため、次年度使用額が生じている。次年度海外渡航が可能となれば、アメリカでの追加調査や学会発表の旅費として使用する予定である。難しい場合は、主に著書や論文執筆のための費用に充てたい。
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