研究課題/領域番号 |
18K13098
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研究機関 | 愛知文教大学 |
研究代表者 |
竹中 烈 愛知文教大学, 人文学部, 准教授 (90762229)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 不登校生の居場所 / 学校教員の不登校観 / 不登校指導における困り事 / デモクラティックエデュケーション |
研究実績の概要 |
本年度は、当初の実施計画に従って、主に2つの事柄を実施し成果を得た。 ひとつめは、学校教員がもつ学校外の居場所に関する意識について、前年度に実施した質問紙調査の結果をふまえ、現職教員を対象にヒアリングを行った。生徒指導上の「困り事」について、さらに詳細を聞き取ることで、「学校教員の不登校指導観」「学校外の居場所の教育内容に対する理解」「学校外の居場所との関係性に対する認識」について考察すると共に、現場教員は不登校指導の負担感を強く認識しており、現場教員のリアリティは目前の指導事項(事象)に対応することに終始しており、それぞれのケース改善に学校外の居場所をどう活用していくかという意識は持ちがたい環境にあることを指摘した。これらの知見については、第71回日本教育社会学会(「学校教員がもつ学校外の居場所に関する意識について」)にて口頭発表を行い、「不登校支援に対する学校教員の意識-教育相談における困りごと事例の分析を通して-」(愛知文教大学論叢第22巻)という論文を通して発表した。 ふたつめは、海外での実地調査をふまえて、日本型フリースクールの土台とみなされているデモクラティックエデュケーションの理念や実践について考察を深めた。具体的に2019年7月15日から20日まででシドニーで開催されたAPDEC2019に部分参加し、オーストラリアや韓国等を中心に多様な国のデモクラティックエデュケーションの実際を体感することができた。本調査で得られた知見は次年度に実施する学校外の不登校生の居場所の変化を取りまとめる際の参照軸として活用していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
学校教員がもつ学校外の居場所に関する意識について、現職教員へのヒアリングや質問紙調査を実施完了し、一定の考察を加え、業績化できたことは評価できると考えている。一方で、既に実施済みの官民協働で運営されている不登校生の居場所に関する調査の論文としての業績化が思うように進まなかった。本年度行ったデモクラティックエデュケーションの実地調査から得られた知見と併せて、現状の不登校生の居場所の実際を取りまとめる上での軸としたいと考えるため、早急にまとめる必要がある。また年度終盤は新型コロナウィルスの影響からフィールドワークやインタビュー調査がうまく執り行えなかった。よって、総合的に判断し「やや遅れている」との評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、前年度からの持ち越しである官民協働で運営されている不登校生の居場所に関する調査の論文発表を早期に行うととともに、教育行政側の変化と不登校生の居場所側の変化の間で構成される「不登校指導」についての考察に一定の結論を与え、業績化(学会発表もしくは論文発表)を行いたい。本年度は新型コロナウィルスの影響から追加的な実地調査の実現が極めて困難であることから、既存の調査データや文献調査などを軸に進めていくことになるが、おおよその計画していた調査は完了しており、大きな影響はないと想定している。このような事情から、今後につながる課題や問題意識なども拾い上げられるような網羅的なこれまでの振り返りおよびとりまとめが本年度の大きな実施課題となろう。
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