本年度は、最終年度であることから、これまでの調査で明らかになった事柄を再整理し、官民協働による教育支援センターにおける支援の特質及び位置づけに関する考察を提示した(「ソーシャルベンチャーによる官民協働の不登校生の居場所づくりの特質―<界>における関与者間の関係構造の変容に着目してー」教育支援協働学研究vol.3)。そこでは、民間NPO団体のコーディネートによる不登校生の居場所においても、官民協働においては、学校文化や教員の職務に関する理解や関心が非常に重要な役割を果たしていることを指摘した。また、学校教員における不登校支援に関わる意識調査は2019年度に実施済みであるが、そこから得られた知見をベースにしながら、不登校支援の実際についてインタビュー調査及びフィールドワークを複数回行うことを通して、官民協働による「開かれた不登校支援」における現状や課題について整理・検討を行った。その中でひとつのトレンドとしてキーワードとなったオープンダイアローグ技法に着目し、不登校支援との親和性について検討し、論考としてまとめた(「精神医療技法としてのオープンダイアローグの可能性―不登校支援への適用可能性という視点から―」愛知文教大学比較文化研究第16号)。そこでは、不登校支援において重要なのは「対話性」と「見守ること」であり、そういったスタンスを学校での不登校支援に取り入れるための方法論を検討した。今後、総括的な研究成果としての論文掲載(業績化)を目指していきたい。
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