公式統計整理を通して,少年院出院者の男女別進路状況から女子において「就職希望者割合」が5割を超えており,男子に比べて通時的に多い状況であることがわかった。女性については,暴力被害などを経験していることは先行研究において指摘されているところだが,女性の「就職希望者割合」が圧倒的に多いことを鑑みると,出院後に安定的な雇用獲得に困難を強いられる可能性は大いに予測できると言える。 インタビュー調査を通してDVシェルターを利用した女性や,搾取的な労働環境で働かざるを得なかった経験を聞き取ることもあり,女性固有の問題のヴァリエーションを収集し,固有の状況に応じた理論生成の必要性を指摘することが出来た。
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