オンタリオ州子どもとユースアドボカシー事務所で活動していたユースが、カナダ他州の同じ立場にあるユースらと共同し、社会的養護のケアを受けている若者やケアから離れた若者が公平なサポートを継続して受けられる基準評価モデル(The Equitable Standards for Transitions to Adulthood for Youth)を開発した活動を把握できた。 この枠組みを開発したThe National Council of Youth in Care Advocatesは、社会的養護を自らが経験したことを通じて、現在ケア下にある子どもや若者が公平で良質な支援が受けられるよう、カナダの児童福祉制度の主流を変えようと各州政府に対し自分たちの生の声を届ける当事者組織である。 最新の動向として、現在ケアを受けている若者が成人を迎えることで突然ケアが打ち切られることなく、若者それぞれの事情やニーズに応じ成人への移行過程で継続的に支援が受けられることを目的としたThe Equitable Standardsを、施設・グループホーム、各州政府へ普及させる活動を展開している。 その一環として、開発に関わった彼ら自身がThe Equitable Standardsの開発の経緯と活用方法の理解を拡げる目的で、施設やグループホーム職員に向け5回連続のオンライン研修を行っている。社会的養護を巣立ち大人になった当事者らが組織を立ち上げ、ケアを離れる移行期とケアを離れて本格的に成人期を送る若者に対して自らの経験を基に支援を開発し、州政府や各現場へ普及されるよう働きかけながら、同時にその仕組みの定着に向け現職教育を手掛ける包括的なソーシャルアクションは、社会的養護を経験した当事者主体の先駆的なセルフアドボカシー実践と言え、今後の研究課題として日本でのこうした活動の萌芽について検討したい。
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