研究課題/領域番号 |
18K13114
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
佐藤 鮎美 島根大学, 学術研究院人間科学系, 講師 (90638181)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | デジタルアプリケーション / 共同注意 / 視線方向推定 / 多次元解析 / 日英比較 |
研究実績の概要 |
本研究は、デジタル絵本などのような子ども向けデジタルアプリケーションが乳児の社会的認知発達に与えるリスクを軽減するため,リスクをもたらす要因を,特に共同注意に焦点を当てながら解明することを目的とするものである。 具体的には,まず,養育者と乳児がアプリケーションを使用する際の相互作用を非接触的な工学技術を用いて多次元解析することで,共同注意の様相をより客観的に検討することを目指している。 さらに、東アジア圏とは大人の視線パターンの異なる西洋文化圏でもデータを収集し、効果の文化普遍性を検討することも、本研究の目的である。 初年度である2018年度は,第一に,養育者と子どものやりとりの撮影映像から視線方向を詳細かつ客観的に記録するシステムを画像解析により構築する。具体的には、顔映像から視線方向を推定するシステムから、実際の3次元空間においてどの座標範囲を注視しているかを推定するようなシステムを開発した。現在、大人を用いたテストが完了しており、大人と乳児の相互作用データの収集を実施している。 さらに、イギリスにおいて予定していた通りのデータ(デジタルアプリケーション使用時の乳児-養育者相互作用データ)を収集し、日本で収集済みデータと同様の解析を進めている。解析後、従来の手法によって解析したデータで、デジタルアプリケーションを使用する際の乳児-養育者の相互作用が日英で異なるか否かを検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の目標は、多次元解析システムの開発および既存の方法での英国データ収集であった。 本年度は、多次元解析システムの開発に成功し、英国データでの収集も実施できたため、当初の予定通りに研究が進捗していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、第一に、多次元解析システムの精度を更に上げることを試みる。乳児と大人のやりとりでは、大人同士のやりとりとは異なる要素があり、それによりやや精度の劣る場面がある。それゆえ、その解決に最適な方策を同定し、精度の改善を試みる。 第二に、多次元解析システムの精度がある程度高くなったところで、日本で収集したのと同様の方法によって英国データの収集を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
イギリスでの打合せを予定していたが、他用で共同研究者と打ち合わせる機会があり、イギリスへの渡航が不要となったため、助成金に残金が生じた。 ただし、現在開発中の多次元解析システムの使用に際して、機械学習が可能な高スペックのコンピュータが必要であるため、その購入に使用する予定である。
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