研究課題/領域番号 |
18K13120
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研究機関 | 共立女子大学 |
研究代表者 |
境 愛一郎 共立女子大学, 家政学部, 専任講師 (70781326)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 通園バス / バス運転手 / インタビュー / セカンドキャリア / 園内研修 |
研究実績の概要 |
今年度は、保育施設通園バスの運転手に対するインタビュー調査の結果報告(共立女子大学家政学部紀要, 68, 97-110)、通園バスの質的向上を目的とした研修プログラムの開発・実施の2点を主に進めた。 まず、通園バス運転手へのインタビュー調査では、運転手らは安全運転への意識を常に割き、保護者や地域との信頼関係を構築しようとしていること、子どもや車内で保育者が行う保育行為の特性を分析し、それらに応じた運転を行っていることなどが明らかとなった。また、運転関連職のセカンドキャリアとして選択されることが多いため、経験豊富な年長者として保育者の業務をリードする場合があること、正職員など園への帰属意識が高いと思われる者ほどそうした意識が強いことなどがわかった。 研修プログラムの開発・実施においては、関西地方の1法人2こども園から研究協力を得て、2021年4月から翌3月までの継続的な研修計画を進めた。同法人は、初任者が通園バス添乗を担当する場合が多く、彼らの実践的力量とモチベーションの向上が課題となっていた。定期的な相互の車内環境の観察を挟みながらコースや停留所事情に応じた各バス独自の車内環境や活動の在り方について継続的な検討を行い、2月度では通園バスを運行する別の2園も交え、研修成果を発表する合同研修を開催した。相互観察や実践発表が、保育者の車内での活動のバリエーションを増やし、車内での過ごし方を保育室などと同じように考えることを促すことが分かった点は大きな成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では、通園バスの機能と特質を明らかにすることを目的に、バス車内の観察研究、バスに添乗する保育者および非常勤添乗者へのインタビュー調査、運転手へのインタビュー調査を計画してきた。現時点で、それらすべてについて一定の成果が得られており、論文として公表済みである。研究は、最終段階である現場への成果の還元および共同研究の段階にあり、2021年度ではその土台となる1年間の協同園内研修の開催を行った。次の課題は、研修計画の洗練と成果の公表であり、それらについても目途が立っている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度では、保育現場との協働による通園バスに焦点化した現場研修の開発・実施と成果発表を主に行う。まず、昨年度に試験的に実施してきた研修の成果と課題を整理し、国内の保育・幼児教育研究会や関連学会で発表する。その際、現場の保育者にも共同発表者として加わってもらうことで、通園バスを実践研究の対象として位置付けることを目指す。これと並行して、4月から翌年3月まで1法人2こども園での通園バス研修を引き続き実施する。昨年度は、車内環境の相互観察、他園のバス状況の視察が特に保育者らのバス保育への意欲を高めたことから、今年度は早期より計画的に研修に取り入れ、より効果的なプログラムの開発を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は、学会での成果発表と現場研修を主に予定していたが、その多くがオンライン開催となり旅費が予定通り執行できなかった。2022年度は、対面での研修を積極的に実施する計画であり、その謝金および研修データの整理に予算をあてる計画である。
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備考 |
本研究計画の成果論文である「保育環境としての通園バスの特質と機能:車内での活動内容と運行時刻表との関連性に着目して」(乳幼児教育学研究, 19, 11-22)について、日本乳幼児教育学会研究奨励賞を受賞した(2021年12月18日)。
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