| 研究課題/領域番号 |
18K13124
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| 研究機関 | 東京女子大学 |
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研究代表者 |
山本 寿子 東京女子大学, 現代教養学部, 研究員 (90812579)
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| 研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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| キーワード | 多感覚知覚 / 感情知覚 / 視聴覚統合 / 養育経験 / 生涯発達 |
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| 研究実績の概要 |
本研究は，子どもとの接触や養育経験をはじめとする他者とのコミュニケーションが，相手の情動を多感覚的に知覚する様式にどのような影響をもたらすかを明らかにし，多感覚情動知覚の形成と変容を生涯発達の観点から解明することを目的としている。平成31年度（令和元年度）までに幅広い年齢の対象者に多感覚知覚の様式を調べる実験を行ってきたが，令和2年度は，新型コロナウイルス感染症の流行に伴い対面実験の実施が困難となったため，過去の実績の論文化と，本研究の中核となる「多感覚的な情動知覚様式」を遠隔で測定するためのオンライン実験の開発・検討を行い，次年度への研究につなげることとした。これまでに本研究で明らかになったことは，以下の通りである。
（１）顔と声からの情動知覚の生涯発達：子どもでは年齢とともに声優位性が高くなっていくが，成人では加齢とともに声優位性が低くなる傾向が見出された。
（２）養育経験の影響：養育経験がある成人は他者志向性が高く，養育経験がなく他者志向性の低い参加者に比べて，顔から情動を読み取ろうとする傾向が見られた。
（３）身体と声からの情動知覚の生涯発達：身体表現（顔以外の視覚情報）と声の組み合わせから感情を読み取る際，子どもでは一貫して声優位性が高く，成人期に声優位性が低くなるというように，顔と声の組み合わせとは異なる発達的変化が見られた。
（４）顔と声を用いる感情知覚実験を遠隔で行う試み：顔からもしくは声からの感情知覚の実験を，インターネットを使いすべて遠隔上で実施する試みを行った。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していた実験では参加者に対して実験者が近接して行う必要があることから，新型コロナウイルス感染症流行下での実験実施を見合わせ，これまでの実績に基づく論文投稿とオンラインで実験が可能であるかの検討に注力し，次年度に計画を継続し，オンライン遠隔で実施可能である実験に切り替えた上で，研究目的の達成を目指すこととした。
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| 今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症拡大防止対策のため，今なお，研究機関において多くの参加者を対象とした対面実験を実施することは難しいことが予想される。この現状に鑑みた本研究の柔軟な進展に向けて，令和3年度は多感覚的な情動知覚および表出を明らかにする遠隔研究（多感覚情動刺激を用いた知覚に関するオンライン実験，コミュニケーションにおける特性と情動表出の様式における関連を検討する質問紙調査）およびこれまでの成果の発表を計画している。また，対面かつ参加者に近接した実験が可能となった場合は，状況に応じてリアルタイムな情動表出，情動知覚を測定する検討を行う。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
令和２年度は感染症拡大の防止策として実験の実施を見合わせたため，次なる研究に向けて，使用しなかった支出予定額を次年度使用額とした。
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