研究実績の概要 |
本研究では,子どもが抱える現代的健康課題の解決を目指して,学校における健康の専門家といえる養護教諭が「気になる」事象から推測された子どもの非認知能力の育ちとその成育・生活背景の実態を解明することを目的としている.初年度である2018年度は1都2府2県の小学校7校,中学校3校に在籍する小学1年生~中学3年生の4,099名(男子2,114名,女子1,985名)を対象に以下の諸調査を実施した.調査項目は,非認知能力の指標としてgo/no-go課題を用いた.併せて,記名式質問紙を用いて,睡眠状況、身体活動状況、インターネット依存状況等に関する生活状況調査も実施した.その結果,1)go/no-go課題への誤反応数は加齢に伴って減少していくことが確認された.2)go/no-go課題への反応を基に分類した5つタイプ(不活発型,興奮型,抑制型,おっとり型,活発型)の内,最も幼稚なタイプと考えられる「不活発型」の出現率は,先行研究(1969年調査,1998年調査)よりも高値を示す様子が確認された.3)自分の気持ちを上手に表現しにくいタイプ,あるいは,いわゆる“よい子”とみられがちなタイプと考えられる「抑制型」は,1969年調査では一人も観察されなかったものの,本調査では10%程度存在する様子も確認された. 以上のように,本年度は非認知能力の育ちの一実態を明らかにすることができた.次年度以降は,非認知能力の育ちと関連する成育・生活要因を解明することが課題であると考えている.
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