研究実績の概要 |
本研究では,子どもが抱える現代的健康課題の解決を目指して,学校における健康の専門家といえる養護教諭が「気になる」事象から推測された子どもの非認知能力の育ちとその成育・生活背景の実態を解明することを目的としている.2022年度は,それまでに収集されたデータを基に,以下の知見を見出した. 分析対象としたデータは,2017年11月-2020年2月の期間に収集されたものであり,対象は小学1-中学3年生の4,482名であった.調査では,非認知能力の指標として視覚刺激によるgo/no-go課題に対する誤反応数(no-go taskに対するコミッションエラー,go taskに対するオミッションエラー)が収集された.また,質問紙による生活習慣(睡眠状況,身体活動状況,スクリーンタイム)のデータも収集された.誤反応数(no-go taskに対するコミッションエラー,go taskに対するオミッションエラー)の学年差と性差の有無を検討した結果,コミッションエラーには性差と学年差が,オミッションエラーには学年差が認められた.また,両エラーと性,学年,生活状況との関連を二項ロジスティック回帰分析により解析した結果,コミッションエラーは性,学年と,オミッションエラーは学年,就床時刻,スクリーンタイム,身体活動と有意な関連が認められた.以上の結果から,子どもの非認知能力には,性,学年に加えて睡眠状況,スクリーンタイム,身体活動といった生活習慣が関連していることが示された. 以上の研究知見を論文化したものを『Frontiers in Public Health』に投稿し,受理された.
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