研究課題/領域番号 |
18K13130
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研究機関 | 愛知みずほ短期大学 |
研究代表者 |
加藤 望 愛知みずほ短期大学, その他部局等, 助教 (60734473)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 一時預かり事業 / 保育者の実践的知識 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、一時預かり事業に関する保育者の実践的知識を明らかにすることである。実践的知識とは、「実践において機能している知識」のことであるが、これは必ずしも他者へ伝達可能な知識ではないため、言語化や概念化が困難な知識である(佐藤,2015)。保育者の実践的知識に関する研究はこれまでにも行われている(e.g.砂上他,2009;湯浅,2017)が、これらは通常保育を担当する保育者に関する研究であり、一時預かり担当保育者の実践的知識に関する研究は行われていない。 従って本研究では、一時預かり事業における保育者の「見えにくい」実践的知識を「見える」形で抽出する。また、その研究方法として、Tobin(1989)のマルチヴォーカル・ヴィジュアル・エスノグラフィーを使用する。 2018年度は研究計画通り、一時預かり事業を実施している公立保育所と民間保育所の合計4園にて、それぞれ2~4日間保育観察を行った。筆記による記録と、2台の定点カメラ及び1台のウェアラブルカメラを使用して動画記録を行った。撮影した動画は編集作業を行い、1園につき約20分のビジュアル・エスノグラフィーを作成した。 また、これと並行して、1名の一時預かり担当保育者にインタビュー調査を実施し、日々感じている葛藤や、通常保育との異なりについての語りを得た。得られたデータは質的研究の分析法であるSteps for Coding and Theorization(SCAT)(大谷,2008/2011/2019)を使用し分析した。結果として、一時預かり事業担当保育者に生起する葛藤の背景には、一時預かり事業がルーティン理解別二層保育になっていること、個々完結型保育であること等が明らかとなった。 2019年度においては、編集し作成したこのヴィジュアル・エスノグラフィーを視聴しながら、保育者へのインタビュー調査を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ビデオ編集に膨大な時間を要することが十分に予測できていなかったこともあり、編集作業が遅れている。当初予定では、2019年4月には保育所4園全ての編集作業を終えている予定だったが、現在、半数の2園分の編集作業が完了していない。 また、当初は1園につき1回ずつのグループインタビューを実施する予定であったが、受け入れ先の保育士配属と勤務の都合により、1園につき2回ずつ以上のインタビューを実施しなければならず、その日程調整等に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
ビデオの編集作業については、可能な限り時間を確保して実施する、もしくは信頼できるアルバイトに編集を依頼しようと考えている。 また、グループインタビューは編集作業と並行して実施していくことで、研究の遅れを取り戻す予定である。 今年度は、6月7月8月において、自園の保育を撮影したビデオを視聴してもらって、インタビューを実施し、9月10月11月12月において、他園のビデオを視聴してもらいインタビューを行う。また、1月2月3月には、一時預かり事業を担当したことのない保育者によるグループインタビューを実施する予定である。 インタビューデータについては、随時、文字起こしを行って分析し、国内および国際学会において発表を行い、他研究者からの見識等を得る。
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次年度使用額が生じた理由 |
インタビュー調査に必要な物品の購入を検討中であるため、残額が生じました。予定よりもインタビュー回数が増加する可能性もあり、予定した謝金より多くの金額が必要になる可能性も否定できず、2018年度の物品費を可能な限り抑え、次年度の謝金へ流用したいと考えております。
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