本研究は,保育者の気づきに関する認知学習研修プログラムの効果を検証することが目的であった。前年度までの業績の結果から保育者の保育経験年数によって保育場面観察時における眼球運動と抜き取られる情報に差異が認められることが明らかとされた。この結果を基盤として,最終年度は,保育熟達者の眼球運動や抜き取られた情報の差異を保育経験年数が浅い保育者などに体験的に経験できるプログラムをVRを用いて考案し,その効果を検証した。なお,新型コロナウイルス感染症の拡大から対面型の研修を行うことはできず,オンラインシステムを用いての研修を行った。その結果,保育熟達者の見方を録画したVR映像を他の保育者が体験することで,自己にない視点での子ども理解や環境の理解が深まることが示唆された。しかしながら,実験参加者の少なさや,対面での調査及びより効果的な気づきの学習プログラムを構築するためには,追実験が必要となる。今後は,そのような点を検討していきたい。
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