幼児における身体活動量の「置き換え」による効果の推定(「置き換え」効果)が運動習慣の獲得を目指した健康づくりプログラムに有効かどうかを明らかにするものである。運動疫学的アプローチとして有用とされるISモデルによる統計解析を用いることで身体活動レベルの「置き換え」による運動能力、生活リズム等の推定値を算出することが可能となる。その推定値を身体活動指標の理由づけに活用することで、運動習慣の獲得を目指した行動変容において有用な目安となると考えている。 そこで本研究では、①幼児の身体活動量において、テレビ視聴等(座位行動レベル)を静的な遊び(生活活動レベル)、動的な遊び(歩・走行活動レベル)に置き換えた際に、運動能力、生活リズム、メンタルヘルス、親の育児ストレスに及ぼす効果を検証し、②幼児における身体活動量の「置き換え」効果を活用した運動習慣を獲得する健康づくりプログラムの確立とその有効性を検討することを目的としている。
実績としては、幼児の座位行動と身体活動の置き換えることで、25m走や立ち幅跳び、ボール投げなどの運動能力、排便習慣といった生活状況との関連が認められた。またコロナ禍の幼児の身体活動については、コロナ禍は非コロナ禍と比して休日における歩数、MVPAで有意に低いことが明らかとなった。以上、幼児における身体活動量の「置き換え」による効果の推定については一定の成果を示すことができた。またコロナ禍によって介入研究は不可能であったが、コロナ禍前後の幼児の身体活動の現状を報告できたことも子ども学の分野では成果があったと考える。
|