研究課題/領域番号 |
18K13140
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
伊藤 優 島根大学, 学術研究院教育学系, 助教 (80781054)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 危険予知トレーニング(KYT)教材 / ヒヤリハット / 危機予測・回避能力育成 |
研究実績の概要 |
本研究は、保育者養成校の学生対象に保育現場の危険状況をハザード(事故に結びつく対象)と、それによって発生するリスクに区分して捉え、危険防止のためのガイドラインの作成、及びICTを活用した保育現場において必要な危険予測・回避能力育成のための危険予知トレーニング(KYT)教材を開発・実践し、その有効性を検証することを目的とした。本研究を遂行するため、令和2年度の成果は下記の通りである。 1)保育者養成校の学生に実施した調査のデータを分析し,教材開発に関する知見を得るとともに、その成果に関して研究発表を行った。具体的には、心的状態を「安全に関する統制の所在」と掛札(2012)が指摘する3つの要因(「楽観バイアス」「帰属の誤り」「見守る保育に対する過信」)の関連性について検討した。その結果、「気をつけていれば事故は防ぐことができる」という信念は,「事故が起こったのは、その当事者に問題がある」という帰属傾向を促し,他園の事例から省察的に学ぶ意識を阻害する可能性や、「見守っていれば大丈夫」という過信を引き起こす可能性が示唆された。一方で,安全に対する外的な帰属傾向は,「深刻な事故が起こるかどうかは偶然によるところが大きい」という信念と関連する可能性が示された。 2)全国の幼稚園・保育所で実施した調査のデータを分析し,中学生と幼児とのふれあい体験時における中学生の行動への危険意識、中学校でのふれ合い体験前の事前指導などについて検討した結果,保育者は中学校での事前指導において、中学生が挨拶やマナーなどの基本的な態度を身に付けることを求めていた。また、特に3歳未満クラスや異年齢混合クラスにおいて,ふれあい体験時の中学生の行動に含まれるハザードを警戒していることが示され、担当クラスの子どもたちの発達段階に即して,保育者の危険意識の程度に差が生じることが認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度末にICT教材を作成する予定であったが、コロナウイルス感染拡大のため、幼稚園や保育所への訪問が困難となり、必要画像・動画を収集することができず、教材の開発が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
1)これまでの成果をもとに、保育者養成校学生を対象とした危険防止のためのガイドラインやKYT教材を作成する 2)KYT教材をもとに授業を行い、実施前と実施後の学生の変化を調査する。 3)これまでの成果を引き続き国内外に発表・論文化していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度にICT教材を作成する予定であったが、コロナウイルス感染拡大のため、幼稚園や保育所への訪問が困難となり、必要画像・動画を収集することができなかった。本年度ICT教材を作成するにあたって、機材等をそろえたい。
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