研究課題/領域番号 |
18K13142
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
金 小海 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 放射線影響研究部, 研究員(任常) (40815924)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 甲状腺がん / 放射線 |
研究実績の概要 |
研究実績の概要 東電福島原発事故後、長期低線量率放射線被ばくによるがんを含む健康影響が懸念されている。特に放射線感受性の高い小児の被ばく影響に関心が高まっている。実際に福島県において、甲状腺がんが健康調査によって多く発見され危惧されている。しかし、福島で発見されている甲状腺がんの遺伝子変異パターンはチェルノブイリ原発事故後の甲状腺がんとは異なっており、放射線被ばくに起因する発がん過程における遺伝子変異について詳しくはわかっていない。 2018年においては、動物実験で得られた甲状腺の病理標本を用いて、病理診断を進めた。我々のマウス甲状腺の標本は胎仔期、新生仔期あるいは若成体期に放射線を照射して終生飼育したマウスであり、発がん過程の各段階における病理組織の特徴や照射時年齢依存性について調べることができる。来年度は、さらにそのグループごとの遺伝子変異解析により放射線誘発甲状腺がんのバイオマーカーの探索を行うことによって、発がん機構解明のための基礎的情報を得ることを目標としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね順調に進んである。放射線誘発甲状腺の標本をみたところ、線量依存性では1Gyで病変の数の増加をみとめた。照射週齢に関しても統計解析を進み、さらに詳しい結果を求める。
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今後の研究の推進方策 |
甲状腺病理診断を完成したうえで、免疫染色でタンパクレベルでの評価と次世代シーケンシングでの遺伝子解析を進める予定である。次世代シーケンシング甲状腺固定標本がサイズ的小さいため、可能かどうか検討中であり、500pgからの微量調整可能な試薬は既に購入済み。
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次年度使用額が生じた理由 |
免疫染色など条件検討が必要となり、一部試薬の購入を来年度にまわしたため。
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