日本の保育施設の最低基準は、1948年制定以降、根本的な見直しは行われず、他の先進諸国に比べ低いことが問題となってきた。理論的には、職員一人当たりの子どもの数が少なければ、保育者の目が行き届きやすく、より安全な保育環境を確保できると考えられる。しかし、設置基準の改善にはコストもかかるため、改善の必要性や根拠を示していくことが必要と言える。本研究では、既存のデータベースを用いて保育事故の要因や対策を分析し、事故予防の観点から、設置基準改善の必要性を提示した。また、事故の振り返りや再発防止策に活用するうえで、事故報告データに含めると有用であろう項目や、要因分析の記載方法に関する課題も検討した。
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