研究実績の概要 |
本研究課題では,認知神経科学に基づき,ものづくり学習において教示方法の違いが及ぼす学習効果を検証することを目的としている。 令和元年度は,以下に示す2つの検証を行った。 ①情動を伴う教示方法に関する調査 ものづくり初学者を調査協力者として,情動を伴う教示方法によって記憶の保持がどのように変化するかを調査した。具体的には,技術に関する専門的な授業を受けていない学生を実験群(情動を伴う教示を与える群)と統制群(情動を伴う教示を与えない群)に分けて実験を行い,理解度テストと想起調査を実施した。本研究により,中学校技術科のものづくり学習を指導する際に役立つ示唆を得ることができた。なお,アメリカで開催された国際学会(E-Learn: World Conference on E-Learning in Corporate, Government, Healthcare, and Higher Education)において,本研究成果を発表した。 ②失敗認識の有無が及ぼす学習効果の認知神経科学的検証 失敗認識の有無がのこぎり引きに及ぼす影響を,認知神経科学的アプローチにより検証した。具体的には,失敗を認識する群としない群に分け,両群の切断成績(切断時間と切断角度)と切断中の脳血流量を計測した。脳活動の評価には光イメージング脳機能測定装置を使用して,のこぎり引き作業の課題前及び課題中の脳血流を測定し,相対的な変化を評価した。切断成績と脳血流量の両面から,失敗認識の違いによる学習効果を確認することができた。
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