研究課題/領域番号 |
18K13149
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
五島 朋子 東京大学, 地震研究所, 特任研究員 (10782039)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 防災教育 / 防災リテラシー / 教育委員会 / 地震 / 津波 / 南海トラフ / 防災アンケート |
研究実績の概要 |
2018年度は、6月に歴史地震に関する教材開発のため、他研究者と川崎市内へ出張し地理・地質に関する巡検に参加した。川崎市の沿岸部は埋め立てて造成されている地域があり、標高が低いゆえに、地震時には地盤や津波に関する災害に脆弱な部分が見受けられる。特有の地形から考えられる自然災害について教材を作成し、今後の教員防災研修に役立てる見通しができた(論文の共著者として発表済み)。さらに、7月に川崎市内の小学校へ出張し、研究協力者である矢崎氏(学校安全教育研究所)の防災講演を拝聴した。本講演は教職員を対象とした校内研修の形で実施されており、主に地震に関する内容であった。校内の防災マニュアルについての助言や耐震性についてのアドバイスもあり、本研究遂行者の今後の教員防災研修の参考にさせて頂いた。さらに同月に第14回学校の安全・危機管理セミナー(主催 学校安全教育研究所・全国学校安全教育研究会)へ参加し、火山災害・気象災害の現状と学校安全について、また南海トラフ地震に関連する情報と学校の対応について講演を拝聴した。 9月から全国の学校(抽出)を対象とした防災アンケートを作成し、研究協力者から助言を頂きながら改訂を重ね、10月末に発送、翌年(2019年)1月末までに回収を終えた。これについて当初は学校のみを対象としたアンケートを作成予定であったが、本研究には学校と密に関係する教育委員会の存在も欠かせないことから、全国の教育委員会(抽出)に対してもアンケートを実施した。年度末にかけてアンケート集計のためのデータ入力を終えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度の研究では、当初学校アンケートを回収し、分析したのちに本研究のモデル校の選出と、校内の防災担当者との打合せを予定していた。打合せの中では、校内の防災マニュアルに対する助言、避難訓練の起案と立ち合い、その他の打合せを予定していた。 しかしながら、アンケート結果より当初の計画については思った以上に学校側が研究者の学校への介入について負担が強いられる、という意見があったため、学校への助言を控えたという経緯があった。 したがって、2019年度当初からはこのアンケート結果をもう少し慎重に分析し、学校現場に本当に求められている防災活動への手助けの内容を吟味する必要があると考えた。今後は当初予定していなかった教育委員会へのヒアリングや、教育委員会主催の教員研修(所管の学校の防災担当者が出席する)を開催することも視野にいれて検討中である。 アンケート結果より、真に教育現場に求められている防災教育システムを構築するという面では、具体的な計画が変更されることは予想されていたため、全体とし概ね順調に進んでいると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は、前年度の学校防災アンケート結果から、教育現場で求められている防災教育活動への要望を把握できた(現在、投稿準備中)。このアンケート結果については、今後学会誌に投稿し、秋の大会で発表予定でもある。当初モデル校を5校選出予定であったが、各校のきめ細やかな助言を実施するために2校に絞る予定である。また、各校を管轄する教育委員会に対しても丁寧に説明を行い、本研究の主旨を御理解いただけるよう試みる。可能であれば、教育委員会主催の教員研修を実施し、結果から得られる効果を検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究者本人の出産育児のため2018年度後期は,研究を遂行することができなかったため、当初予定していた各校への出張は殆どできない状況であったた。そのため(旅費)と(人件費・謝金)は当初より少なくなった。(その他)については、2019年度から使用する教員研修のための自身の研究の教材化のため、論文の校閲と投稿代として使用した。
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