研究課題
自然災害に関する専門的な知識を持つ研究者が、積極的に教員に対する防災教育を展開・持続させる仕組みを実践するために、全国の学校ならびに教育委員会を対象にアンケート調査を実施した。学校現場の防災対策事情を把握し課題を整理することが目的であった。その結果、行政と所管学校との繋がりや相互の働きかけ合いが不足している面がみられ、そのために発災時に防災マニュアルが機能しない可能性を指摘した。また、出張授業による講義を行った。その中で、生徒へ課題を家に持ちかえらせるなどし、学校から家庭や地域へ災害に対する知識を還元できるよう工夫をした。課題は、過去自分の住んでいる地域で発生した災害の具体的な被害について調べてきてもらうもので、最終的にはグループ討論の形式をとり、アンケートをとって、学習評価にもつなげた。さらに、本課題の中で、各学校に整備されている防災に関する危機管理マニュアルの効率的な管理・運用を目指すためには、紙媒体の防災に関するマニュアルをデジタル化する研究をスタートさせることも有用であることに気づいた。今後は、発災時に教員のとるべき行動をシミュレーションするなど、避難訓練にも有効なアプリ開発にも力を入れていきたい。最後に、環境探究学研究会という任意団体を立ち上げ、研究者と教員が直接的につながり、例えば最新の災害科学の知見など多くを学校現場に発信する仕組みを整えた。
3: やや遅れている
新型コロナウイルス対応のため、年明けから年度末にかけて、研究調査対象である教育機関への働きかけができない状態が続いている。そのため、学校防災計画への関与等が難しく、研究はやや遅れている。
前年度までの学校防災アンケート結果をもとに教育現場で求められている防災教育活動への要望を把握できている(五島ほか,2020,災害情報)。しかし、新型コロナウイルス対応に追われ、諸対応や授業の遅れを取り戻すなど学校現場の負担が大きくなる中、またこの状況がいつまで続くか不透明な中、どれだけ現場に介入できるかわからないが、教員に対する防災教育を実施する機会を得られるよう努力していく。
物品費が予定より多くなった。その理由として出張授業の準備で文具や機材が必要になったためである。また、人件費・謝金の出費を予定していたが、今年度は支出がない。その理由として、新型コロナウイルス対応の影響で、教育機関を対象とした年度内の作業が滞った部分があり、来年度に作業を延期するためである。
すべて 2020 2019 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) 備考 (2件)
災害情報
巻: 18-1 ページ: 83-94
歴史地震
巻: 34 ページ: 167-183
Geophysical Research
巻: 125 ページ: 00-00
https://doi.org/10.1029/2019JB018466
Sedimentary Geology
巻: 382 ページ: 85-102
10.1016/j.sedgeo.2019.01.001
http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/people/t-goto/
www.kantanken.net