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2018 年度 実施状況報告書

対話を通した共生のための価値観の形成をもたらす音楽科カリキュラムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 18K13151
研究機関東京学芸大学

研究代表者

小山 英恵  東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (20713431)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード音楽教育 / 異文化間 / 共生 / 対話 / 現象学 / 文化的アイデンティティ / 価値観 / ビルドゥング
研究実績の概要

本研究の目的は、多様な文化的背景をもつ他者と共生するための価値観の形成をもたらす音楽教育の方法論を明らかにすることである。その際、本研究の独自性は、①音楽における子どもの生の側面、②対話、③教科の本質と資質・能力育成の融合(音楽の営みの本質に迫ることによる価値観の形成)に焦点を合わせる点にある。この課題をふまえ、2018年度は主に下記の3点について研究を進めた。
・ドイツの異文化間音楽教育に関する研究:ドイツの異文化間音楽教育は、特定の音楽作品を規範的にみる規範的な文化概念や、移民の子どもたちの祖国の音楽や文化を授業で扱う民族的‐包括的な文化概念に基づいていたが、近年これらの文化概念が移民の背景を持つ子どもたちの音楽教育に相応しくないとして、子どもたちのハイブリッドで可変的、自己選択的な文化的アイデンティティの形成を支える、意味の付与・共有・生成としての文化概念とそれに基づく異文化間音楽教育が提唱されている。この成果は2019年度に発表予定である。
・2017年改訂学習指導要領をふまえた音楽科の深い学びをもたらす学習に関する研究:ドイツにおける対話的な人間形成の考えを基盤として、パフォーマンス課題を活用して子どもたちが多様な音楽文化や他者や自己と対話しながら音楽表現や鑑賞の学習を深めていくあり方についてまとめた。
・共生をめざす音楽鑑賞教育に関する研究:竹田青嗣による現象学的-欲望論における芸術論の美的価値の生成原理にもとづき,子どもが互いの差異を承認することを前提として仲間と共に音楽作品の芸術的価値審級について対話する音楽鑑賞活動が多様な文化的背景をもつ他者と共生するための教育となることを明らかにした。この鑑賞活動は,音楽の客観的内容ではなく主観的な美的価値に,音楽文化の出自ではなく仲間の多様性に焦点を合わせる。この成果は2018年度に口頭発表を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画から、具体的な対象については変更しているものの、そのことにより本研究の目的に鑑みて予想外の成果も得られている。そのため、研究はおおむね順調に進んでいるといえる。

今後の研究の推進方策

今後は、引き続きドイツの異文化間音楽教育における新たな文化概念やそれに基づく理論と実践について文献研究を進めるとともに、ドイツにおいて現地調査を行う予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019 2018

すべて 学会発表 (1件) 図書 (2件)

  • [学会発表] 共生をめざす学校教育における音楽鑑賞に関する考察――現象学的‐欲望論的芸術論を基底として――2018

    • 著者名/発表者名
      小山英恵
    • 学会等名
      日本音楽教育学会
  • [図書] 西岡加名恵・石井英真編著『教科の「深い学び」を実現するパフォーマンス評価――「見方・考え方」をどう育てるか』2019

    • 著者名/発表者名
      小山英恵「音楽科」「美術科」
    • 総ページ数
      149
    • 出版者
      日本標準
  • [図書] 笹野恵理子編『はじめて学ぶ教科教育 初等音楽科教育』2018

    • 著者名/発表者名
      小山英恵「初等音楽科の評価」
    • 総ページ数
      235
    • 出版者
      ミネルヴァ書房

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公開日: 2019-12-27  

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