研究課題/領域番号 |
18K13152
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
森尻 有貴 東京学芸大学, 教育学研究科, 講師 (90757478)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | イギリス / 音楽教育 / 継続能力開発 / CPD / 教師教育 |
研究実績の概要 |
2020年度は新型コロナウイルスの感染拡大及びパンデミックの影響により、英国での現地調査が実行不可能であったため、オンライン会議システムを利用した聞き取り調査やインタビュー調査を中心として調査を進めた。CPD(継続能力開発)の研修に関わる音楽家の活動や、研修内容、現状と課題について半構造化面接を行った。初等教育における全科教員(Generalist teacher)に対しての音楽科の授業実践の為のCPDの内容や課題、中等教育における音楽専科教員(Specialist teacher)のためのCPDの内容と課題に関しては相違点があることから、CPDに求められる内容や教員への支援は異なり、CPDの研修を行う音楽家の内容構成や配慮事項も異なることが明らかとなった。とりわけ、初等教育の教員においては自信を持って指導に当たることのできる精神的な支援の重要性が報告されたとともに、より実践的で具体的な指導技能の研修が求められている側面も明らかとなった。 また、本研究の2019年度の研究成果をまとめた内容を国際誌(査読有)にて公表した。イギリスにおけるCPDの一部として実践されている創造的音楽学習の手立てを、日本の教員養成課程にて援用、実践を行った成果と課題について考察し、日本の学校教育における音楽的概念や教育的手法について検討を行った。学校教育において経験される音楽的概念を再現する音楽的活動や教育手法には抵抗感が低い一方、未経験の音楽的概念に基づく教育手法は新規性による発見と高い興味が示された、一方で、未経験の音楽活動においては、その知識と技能の獲得が、活動への抵抗感を軽減するために必要であることも示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、新型コロナウイルスの感染拡大及びパンデミックの影響により、英国での現地調査が継続不可能となり、オンライン会議システムを利用した聞き取り調査やインタビュー調査を中心として調査を進めた。それに伴い、研究期間の延長及び調査研究の手法の再検討・修正を行った。しかしながら、当初の研究課題である内容に変更はなく、調査研究のデータコレクションをオンラインへと切り替えたことへのデータの取り方や分析手法の変更に伴い、データ分析や研究手法の整合性に関する検討を中心に行ってきた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの調査研究を踏まえ、データ分析及び考察を中心に行う予定である。研究課題の最終的なまとめの年度として、これまでの文献研究や調査研究の成果を総合的に考察し、不足している内容に関しては補填的な調査を行うことも予定している。また、国内外の学会への成果発表を行うことにより、研究成果を発信していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大及びパンデミックの影響による、英国への渡航及び調査が不可能となったため、当初予定していた旅費が未使用となった。新型コロナウイルスの影響による渡航制限は今後も続くと見込まれるため、調査方法を変更することにより、調査研究を行う予定である。調査研究協力者への謝金や研究公表のための英文校正料などに使用する予定である。
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