研究課題/領域番号 |
18K13154
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
鄭 暁静 信州大学, 学術研究院教育学系, 助教 (30774632)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 家庭科教育 / 日韓比較 / ESD / SDGs / 教育課程 / 教科書 |
研究実績の概要 |
本研究では、日本と韓国における家庭科のESDの授業実践を比較分析することを通して、互いの学びの違いから、今後の家庭科のESDのあり方を提案することを目的としている。そこで、日本と韓国における家庭科のESDの要素を、教育課程及び教科書分析を通して明らかにした上で、授業実践を行うことにした。 令和2年度の計画では各国の中学校を対象にESDの授業実践を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症拡大により取り止められた。そこで本研究では、授業実践を予定している生徒たちのこれまでの学びの実態を明らかにすることを目的に、日本の中学生を対象に家庭科の消費生活・環境領域に焦点を当て、学習に関する生徒たちの認知と考え方について質問紙調査を行った。その結果、生徒たちは消費生活や環境に関する意識が高く、特に金銭に着目した学びは、生徒の消費生活・環境に対する意識の向上や生活実践を促進していることが分かった。一方、学びの継続性や、消費生活を巡るジェンダーバイアスには課題が見られた。また、SDGsと身近な生活との関連について尋ねたところ、生徒たちは環境と関連した目標は身近な生活と関連していると認識していたが、人権やジェンダーに関する目標と生活との関連はあまり認識していなかった。 教育課程、教科書分析を通して、家庭科は領域間の連携を図った統合的な視点でのESDの可能性が示唆された。持続可能な社会の構築に向けた家庭科の学び実現を目指し、特定の領域や目標に偏らない、統合的な視点によるESDの授業実践の検討が求められる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和元年度に実施した教科書分析の結果を学習者中心教科教育学会誌(韓国)の論文としてまとめ、また、令和2年度に実施した生徒への質問紙調査の結果の一部を日本家庭科教育学会2020年度大会(オンライン)で発表した。 しかし、当初計画していた日本と韓国の授業実践は、新型コロナウイルス感染症拡大のために行えず、研究の遂行が極めて困難であったことから、生徒への質問紙調査までに留めた。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は日本の中学生を対象に実施した質問紙調査を基に、韓国の中学生を対象にした質問紙調査を行い、比較分析する。また同時に、統合的な視点によるESDの授業開発を行う。授業実践は新型コロナウイルス感染症拡大の状況を見極めた上で進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度は、新型コロナウイルス感染症拡大のため、予定していた授業実践ができなかった。今後、授業開発及び日韓の授業実践を目指し、オンラインツールを通した研究協力者との情報共有や資料の郵送、データ入力等に使用する予定である。
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