研究課題/領域番号 |
18K13163
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
田本 正一 山口大学, 教育学部, 講師 (30808126)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 地域社会 / 政治教育 / カリキュラム開発 / 参加 |
研究実績の概要 |
本研究は、地域社会の課題を学習内容とし、その解決を目指すことを可能とする社会科カリキュラム開発・実践を目的とする。そうすることで、地域社会を担う市民を育成するための教育を充実させたいと考えている。 この目的を達成するため、平成30年度は、地域社会における現状を調査し、それらを基にして小学校社会科政治教育カリキュラムの開発を行った。現状調査によって明らかになったことは、多くの小学校で地域社会の課題を取り扱い、それを解決しようとする学習が組み込まれていないことである。このことは、同時に学習者が地域社会に対して関心を向けていないことでもある。そのような現状では、地域社会を担う政治的市民の育成は困難であり、喫緊の課題であることが明らかとなった。 この問題を解決するよう、本研究では地域社会に参加できるようカリキュラムを開発している。しかしながら、カリキュラム開発に先立ち、「市民になること」を明らかとしなければならない。本研究では、単に知識や技能の習得によって市民を育成するという立場はとらない。代わりに実存的な決断によって市民として変容するという立場をとった。さらにはカリキュラムは、スコープ・シークエンス法を軸として開発単元を決定した。すると、「まちづくり計画」、「災害対策」など地域社会と密接に関わった課題を設定した。このカリキュラムの特徴は、小学校段階から市民としての変容を促す機会を作り出していることである。今後は、本カリキュラムの実践を行い、その検証を行いたいと考えている
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標は、カリキュラムの開発である。その目標はある程度達成し、次年度は実践を行い、それを検証することとなる。しかしながら、プログラムの評価の方法や学習者の評価のあり方については十分に検討ができていない。その点を踏まえて研究を遂行したい。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度の目標は、開発カリキュラムの運用と検証である。運用については、佐賀県・山口県の教員と連携しながら展開していきたい。その際、開発したカリキュラムの価値等について十分共有する。そうすることで、円滑に授業が進んでいくことが期待できるからである。さらに、授業結果等の分析を行い、カリキュラムにフィードバックすることで新たな知見を得ることとしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度に実施したアンケート調査が予定よりも安価であったことが挙げられる。しかしながら調査は予定通り執行できている。そこで平成31年度は得られたデータ、さらには作成したカリキュラムの効果について発表する機会を増やしたい。具体的には、社会科教育に関する学会、及びカリキュラムに関わる学会(全国社会科教育学会、日本社会科教育学会、日本カリキュラム学会等)において発表する予定である。以上より、平成31年度は主に学会発表・情報収集のための旅費や文献購入費の予算を執行する予定である。
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