本研究は、学校内外の教師のネットワークの有無やネットワークにおける教師間の関係性、その関係変化のプロセスを検証した。加えて、人的ネットワークと職能成長との関連について検討するため、教師の中心的職務である授業実践に着目し、それらに関わるネットワークに焦点化して分析を行ってきた。 個々の教師が持つネットワークと実施する授業との関連について、複数の教師へのインタビュー調査を行い、社会ネットワーク分析の手法を用い分析した。最終年度も追加の調査を重ね分析を続けた。社会ネットワーク分析のなかでも、特定の行為者のネットワークに注目する方法であるエゴセントリック・ネットワークのアプローチにより、教師個人の保有する人的ネットワークを可視化し、ネットワーク変容のプロセスを検証することができた。教師は教材を介して学校外を含めた同教科教師同士のネットワークを形成したり展開したりしており、教師自身がネットワークを資源として活用する実態の一端を明らかにした。 人的ネットワークの分析結果から、教師の人的ネットワークを客観的に把握するための指標となるものの作成を試みた。教師自身が個人の人的ネットワークの現状や形成に関する傾向、発展可能性について客観的把握を可能にするものとして、研究知見を図式化したものを作成し、これについて複数の教師を対象に試験的活用を依頼し、フィードバックを得た。得られた知見を教師に還元するため、教師の人的ネットワークの特徴や強み、変化のプロセスなどについて、情報の発信を行った。
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