本研究の目的は、国語科における説明的文章の教材選択システムを開発するための理論的基盤を構築するために、階層分析法を活用して、読解教材の効果的・効率的な選択方法を明らかにすることである。そのために、本研究では、国語科教員の説明的文章教材の選択基準を明らかにするとともに、国語科教科書における説明的文章教材の類似性を判定することとしている。 2018年度は、複数の説明的文章教材を選択することに熟達している国語科における教職経験のある大学教員を4名を同時に集めて、グループインタビューを実施した。その結果を分析したところ、複数の説明的文章の教材を選択する観点として、文章の内容や形式などの論理に関わる観点、筆者に関わる観点などが抽出された。 2019年度は、四つの文書間類似度の算出モデルを検討し、その中では、有効語を一般的な語とするコサイン類似度の算出方法が高等学校国語科の評論教材の類似度を算出するのに適していることが示唆された。 2020年度は、昨年度に検討した文書間類似度の算出モデルの中で評論教材の類似度を算出するのに適したモデルのさらなる検討を行い、国語科教科書所収の説明的文章教材の類似性の判定にも応用しうることが示唆された。 なお、調査にあたって、北海道教育大学・幸坂健太郎准教授の協力を得た。
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