研究課題/領域番号 |
18K13176
|
研究機関 | 鎌倉女子大学 |
研究代表者 |
藤澤 文 鎌倉女子大学, 児童学部, 准教授 (40633623)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 道徳心理学 / 発達 / 縦断的研究 / 中学生 / 道徳授業開発 |
研究実績の概要 |
この度の学習指導要領の改訂にあたり,「考え議論する道徳」授業をどのように行うかがさまざまな立場から議論されている。そこで、本研究では数ある道徳教材の中から「考えたり議論したりすることが可能と思われるモラルジレンマを参照し、小学生から高校生を対象として「考え議論する」ことのできる道徳教材の開発を行う。また、中学生の道徳性発達を縦断的に検討する。 【研究1】中学生3学年および特別支援学級を対象として、道徳性および関連する社会的能力について縦断的研究を予定しており、その1年目をスタートさせた。今年度は縦断データがないため、横断的検討のみ行った。学年×性別による道徳性および関連する社会的能力の発達的な差異について明らかにした。副次的に既にデータを取得済みの高校生、大学生との比較も行った。多次元共感性の下位尺度はおおむね女子>男子であり、女子の方が発達していることが示唆された。行動基準には学年、性別による大きな違いは見られなかった。 【研究2】小学校、中学校、特別支援学級を対象として「考え議論する」道徳の授業の調査を行った。授業を見ていく中で、考え議論する道徳授業を行うためには、道徳的課題についての認識の発達と道徳的課題を議論するスキルの発達の双方を見ていく必要が示唆された。これらの結果を踏まえ、子どもたちが考えたり、議論したりすることができるようなモラルジレンマ教材を執筆した。副次的に外国の道徳に相当する科目(倫理)の調査も実施した(フィンランド、中学生)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
考え議論する道徳授業の開発を目的として調査をすることができ(小学校、中学校、特別支援学校、海外の学校)、「考え議論する」道徳授業について考察することができた。また、中学生の道徳性の発達を明らかにするために、調査を実施することができた。これらの結果を用いて論文執筆を行う予定である。以上の理由からおおむね順調に進展していると判断している。
|
今後の研究の推進方策 |
【研究1】中学校3学年および特別支援学級を対象として、道徳性および関連する社会的能力について縦断的研究の2年目を実施する。次年度は縦断的検討を行い、学年×性別による道徳性および関連する社会的能力の発達的な差異について明らかにする予定である。 【研究2】小学校、中学校、特別支援学級を対象として「考え議論する」道徳の授業の観察を行う。副次的に外国の道徳に相当する科目(倫理)の調査も実施する(フィンランド、小学校あるいは特別支援学校を予定)。
|
次年度使用額が生じた理由 |
人件費と謝金の一部に関して、科研費での支払いが困難となった。また、英文校正は業者を使用するため、人件費ではなく「その他」扱いとなる。以上の理由から翌年度に繰り越すこととなった助成金は次年度以降の研究遂行に必要な「その他」(英文校正、テープ起こしなどを予定)に使用する。
|