研究課題/領域番号 |
18K13178
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
森 薫 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (90624859)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 音楽教育学 / 学習論 / わらべうた / 音楽人類学 |
研究実績の概要 |
2021年度も、新型コロナウィルスの感染拡大が収束せず、フィールド調査を行うことが全くできなかった。保育所・幼稚園・小学校への調査による立ち入りが非常に難しくなっていることが1つの理由であるが、子どもたちがつねにマスクをしている状況下では、仮に調査に赴くことができた場合にも、子どもたちの表情や口元の読み取りに困難を極める。そのため、授業中に独り言のようにして自発的につくりだされるものである替えうたの収集は、現在不可能といわざるを得ない状況となってしまっている。 そこで、過去(コロナ禍以前に行った調査)のデータをもとに分析を行い、学術誌への投稿を行った。現在査読中である。この論文においては、量的な分析を行い替えうたの類型化をするとともに、替えうたの元となる歌にはどのようなものがあるのか、替えうたが子どもたちに共有される事例においては、何が契機となっているのか等、質的な検討も展開している。 さらに、子どもたちが自発的につくりだす替えうたについて、これまで音楽教育学や学習論の視点から検討を行ってきたが、2021年度の分析と論文執筆を通じて、文化人類学、民俗音楽学、音楽人類学といわれる分野の知見が有用であることが判明してきた。特に、ジョーゼフ・ジョルダーニア(2017)や、ダニエル・J・レヴィティン(2010)らの論稿が重要と考えられる。今後は関連研究の収集を行い、本研究の学問的位置づけについて再考しつつ、分析と論文執筆に取り組みたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
フィールド調査を行うことが非常に困難であるため。また、コロナ禍において子どもたちがマスクをしたまま保育所・幼稚園・小学校での日常生活を送るようになっており、調査に入れた場合にも、子どもたちがつねにマスクをしている状況下では、子どもたちの表情や口元の読み取りに困難を極めるため。
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今後の研究の推進方策 |
子どもがマスクを着用したままでも替えうたを収集できる方法を検討している。ただしこの場合、当初の目的である「音楽学習の過程で自発的につくりだされる替えうたの収集」ではなくなり、1人ひとりの子どもに調査者が「うたってみて」と促すような方法となってしまう可能性が高い。それでは単なる採集調査の域を出ず、本来の目的からはズレが生じてしまうことから、その他の有効な方法がないか検討中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
フィールド調査が行えていないため、次年度使用額が生じている。2022年度は、当初予定していたものとは異なる方法で調査(授業観察調査ではなく、替えうたの採集調査を実施する等)を実施し、また国外の替えうた研究の資料収集と分析を予定している。助成金については、それらの研究に使用することとなる。
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