2022年度より高等学校で実施される「総合的な探究の時間」の教育効果と効果的な探究型カリキュラム及び教材を開発するために、以下の研究に取り組んだ。 ・高等学校の総合的な探究(学習)の時間の実施状況が低調であることを踏まえ、小学校の総合的な学習の時間の教育効果について質問紙調査を基に実証的に検討した。その結果、総合的な学習の時間にサービス・ラーニング(Service-Learning)を取り入れる「サービス・ラーニング型総合的な学習の時間」が、非認知的スキル(non-cognitive skills)の育成に寄与することが明らかとなった。この研究では、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を大きく受ける状況下において、全体として、メタ認知方略を除くすべての非認知的スキルが低下している中で、サービス・ラーニング型総合的学習に自覚的に取り組んでいる児童ほど、メタ認知方略の獲得や動機付け(期待価値)が上昇し、他のスキルも維持されることが示された。サービス・ラーニング型総合的な学習の時間が、将来の見通しが立たず、他者とのかかわりが極端に制限される未曾有の状況において、自分自身を適切にコントロールしながら、未来への期待を高めていく児童の育成に寄与する可能性が示唆された。 この研究結果は、高等学校の総合的な探究の時間においても大いに示唆を与えるものであると考えられる。 今後の課題として、あらゆる学校において、サービス・ラーニング型総合的な学習の時間が実施できるようなカリキュラムの具体例を示しながら、効果的な教材について提示できるようにすることが挙げられる。
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