研究課題/領域番号 |
18K13197
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研究機関 | 京都橘大学 |
研究代表者 |
西野 毅朗 京都橘大学, 現代ビジネス学部, 専任講師 (20781602)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | オンラインゼミ / 帰属組織モデル / コロナ禍 / ゼミナール教育 / アクティブラーニング / インターネット調査 / オンラインインタビュー / 遠隔授業 |
研究実績の概要 |
本研究は、学士課程教育において日本的特質と注目される「帰属組織モデル」の存在を実証していくことを目的とし、人文・社会科学領域の学士課程におけるゼミナール教育の実態・成果・課題を明らかにすることを目指している。 2020年度は、2019年度に実施した学生対象の質問紙調査の結果をまとめ、大学教育学会第42回年次大会で発表することができた。ゼミナール教育に特化した全国学生調査は他に類をみないため、学生がゼミをどのように捉え、ゼミでどのように学んでいるかをマクロレベルで明らかにできたことは重要と考える。 研究実施計画では、2020年度は質問紙調査結果に基づくインタビュー調査を予定していた。しかし、新型コロナウィルス感染症問題の影響により、各大学の遠隔授業化が進み、当初予定していた通常の(対面形式の)ゼミナール教育に関するインタビューは困難と判断した。そこで、当初予定はしていなかったものの「オンラインゼミナールの実態・成果・課題」を明らかにするために、追加のインターネット調査を実施した。また、教員6名と学生12名を対象としたインタビュー調査を実施し、ゼミのオンライン化によるコミュニケーション教員ー学生間、学生―学生間のコミュニケーションへの影響について分析した。 インターネット調査の結果については2021年度の大学教育学会第43回大会で報告予定である。インタビュー調査の結果については、2020年度大学教育研究フォーラムで報告することができた。分析の結果、ゼミがオンライン化されることにより、発信・受信・議論の3点について限定された部分と開放された部分があったことが明らかになった。また関係構築の難化とコミュニケーションの合目的化が進んだことも示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実績でも記述した通り、本年度はコロナ禍の影響により、研究計画の変更を余儀なくされた。しかし、計画を遅らせるのではなく、現状に合わせた研究へと変更することにより、むしろ現代のニーズに合わせた研究を推進することができたと考えている。 特に2020年度に実施したオンラインゼミに関するインターネット調査やインタビュー調査の結果から、帰属組織モデルの根本ともいえる教員―学生間、学生―学生間の人間関係がオンライン化によって構築しずらくなった一方、構築しずらくなることを想定した上での工夫や、ICTツールの有効活用は、逆にゼミナールに新たな可能性をもたらすことも示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は本研究の最終年度となる。これまでの研究成果をまとめ、学会等で発表する他、書籍として出版予定である。学会での発表や書籍としての出版のために、研究会や個別の相談を通じて、研究者から助言をいただき、聴衆や読者にとって価値ある成果を届けられるよう尽力したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は、予定になかった追加のインターネット調査やインタビュー調査を実施したため、予定より多くの費用を要した。残高については、これまでの研究成果をまとめ、発表・出版するための費用に充てたい。
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