研究課題/領域番号 |
18K13202
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
黄 文哲 三重大学, 地域人材教育開発機構, 講師 (50768182)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 高等教育 / 情報公開 / 資金調達 |
研究実績の概要 |
中華圏両岸四地とは、台湾、香港、マカオ、中国大陸を指し、本課題研究では所謂 National University を「官立大学」と表記している。この両岸四地では、同一国内であっても、官立大学の財政基盤は関係行政府の施策によって大きく異なる。両岸四地では地域毎の政策的統制と施策の相違から官立大学の運営に必要な資金調達及び運用には相違が見られ、これらの政策的統制・施策と官立大学の運営・教育活動の関係を調査して比較検討することが本課題研究の目的である。本課題研究は「台湾、香港、マカオ、中国大陸」という中華圏両岸四地の官立大学の資金の調達・運用と高等教育政策の関係を明確にすることである。 本年度は、第一次現地調査として、台湾の教育省と官立大学を訪問し、教育省学生事務局副局長、大学教員2名そして、大学生13名を対象としてインタビュー調査を実施した。 また、今回の調査を通じて集めた台湾全官立大学の財務諸表を元に現在、台湾の官立大学の財務現状について整理しているところである。大学情報公開の側面から、台湾の官立大学のみならず、私立大学でも情報公開に義務付けを課されている。このように、情報を公開することで、他大学における具体的な取組や財務状況などを踏まえたベンチマークを活用し、大学経営における客観的な判断材料とすることも可能である。一方、香港やマカオでは、教育を含む各方面で中国大陸との一体化が進んでおり、人材交流や共同研究を政府が政策的に促進させている。今後は、香港、マカオ、中国大陸に現時調査をし、4地域の官立大学の資金運用の実態および課題の把握をさらに進めるとともに、中華圏官立大学という独自の文脈における大学の資金調達と効果的運用に向けた考察を進める。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度に予定していた研究活動のうち、基礎作業と位置づけた大学の資金運用諸活動をめぐるデータベース作成のための入力作業は台湾、香港、マカオの官立大学を主対象に概ね計画どおりに進んでいる。また、3地域での基礎資料の収集については、地域差が存在することの確認と併せて、情報公開に関する政府や大学側の認識、又請求できる公文書の範囲が異なることも確認することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度の研究計画をおおむね順調に実施することができたので、平成31年度は研究計画の大きな変更はなく、予定に従って研究を進めていく所存である。平成31年度は、4地域に赴き、フィールドワークを行う。当地の研究者と意見を交換しながら、大学の資金調達について各地域の独自の特徴を当時の政治状況や教育政策、社会背景も考慮しながら探究する予定である。科研研究の成果については、学術雑誌等に研究成果をまとめた調査報告、論文を執筆し、発信する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画の一部は、中国大陸出身の研究者にご協力いただくこととしていたが、ご所属先が変更されたため、中国大陸訪問調査計画を変更する必要が生じた。その調整に予想外の日数を要したため、年度内に調査に関する支出を完了することが難しくなった。今年度はその現地調査の実行および資料整理としての費用を支出する。また、中国大陸を含め、国内外の学会参加費も支出予定である。
|