2022年度は、渡米調査の機会を探っていたものの、新型コロナウイルス感染症の影響により調査の実施が叶わなかった。それゆえ、これまでに入手していた文献を中心としながら、2022年度に実施した地域別認証評価団体の評価基準等の横断的分析を更に進めた。 その結果として、各団体の評価基準に濃淡はあるものの、準正課教育(co-curricular)など表現される学習成果に関わる取り組みに関する評価項目が多くの団体に共通して含まれていることが明らかとなった。 このような状況を踏まえれば、学生支援に関する専門職団体が独自に策定している専門職基準の現在の役割については、学生の学修・生活環境を整備するという伝統的な学生支援の役割を含んだものとなっているという点に、その独自性が認められるといえる。このことは、学生支援に関する専門職団体が学生担当職のアイデンティティを学生の発達に関する専門家や学びの支援者としての役割として強調してきたことに鑑みれば、認証評価団体と専門職団体の役割が逆転しているかのようにも見える。 ただし、上記はいずれも評価基準等の文書から読み取れる範囲での分析に留まっており、評価のプロセスの内実までは踏み込めていない。また、認証評価団体の評価基準において学習成果に関わる取り組みについての評価項目がどのような時期に盛り込まれるようになっていったのかについても、十分に検討できていない。これらの点に関する検討は、今後の課題として残されている。
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