研究課題/領域番号 |
18K13204
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
蝶 慎一 香川大学, 大学教育基盤センター, 准教授 (50781548)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 学生支援 / 米国 / 質保証 / 評価基準 / プログラム / スタンダード / 専門職団体 / CAS |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、米国の大学における学生支援に関する多様な全米的な基準(以下、「全米基準」と略記)に着目し、どのような基準の内容が扱われており、また、それらの特徴は何かを検討することで米国の学生支援の評価、アセスメントのあり方を明らかにすることである。特に、こうした「全米基準」に焦点を当てることで制度的側面から検討することが可能となり、日本の大学における組織的な学生支援の実態や今後の体制構築にも一定の知見や実践的な示唆を見い出すことができたと考えている。 本研究課題のうち、当該年度は、「①『活動プログラム』をめぐる『全米基準』の内容と特徴」の考察を深化させるため、「本研究の学術的背景」においても整理、言及していた全米学生支援に係る専門職団体のひとつであるACPA(American College Personnel Association)の正規の個人会員となることで、コロナ禍であっても日本国内でのオンラインを通じた関連情報の収集を行った。加えて、米国学生支援に係る文献調査も精力的に実施し、関連する情報を入手、検討することができた。 具体的な知見として、米国学生支援では、デラウェア大学の学寮改革を契機として約15年前から「カリキュラム・アプローチ(Curricular Approach)」という新たな概念が創出されており、従来の伝統的なアプローチとは異なる転換が進んでいることが窺い知れた。さらに、学生の学習成果を促進することを志向した学生支援が米国で急速に拡大し、強化されている方向性が提示されている中で、この「カリキュラム・アプローチ」が実践にも普及していく可能性も示唆された。 引き続き、学生支援の評価、アセスメント、そして改善に結びつけていくプロセスをいかに構築しているのか、このような新たなアプローチを模索する米国の動向を継続して検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題のうち、特に当該年度は「①「活動プログラム」をめぐる全米基準の内容と特徴」の考察を深化させることができた。 具体的には、(1)ACPAを通じた関連する史資料の収集、文献調査の継続的な進捗、研究論文の執筆と公表、の3点が挙げることができ、当該区分の評価ができると考えている。 詳しくは、全米学生支援に係る専門職団体のACPA(American College Personnel Association)の個人会員になることで、本研究に関連する史資料の存在を確認し、必要に応じて閲覧、入手することもできた。また、(2)昨年度までに収集等を進めてきた文献(書籍、オンライン資料等を含む)の調査も継続的に行うことができた。そして、(3)「研究実績の概要」において記載した米国学生支援における「カリキュラム・アプローチ」の概念を分析対象とした査読付き研究論文を執筆し、2022年度(2023年3月)中に掲載することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では、新型コロナウイルス感染症の拡大が落ち着いてきたことから、米国における学生支援の専門職団体であるCAS(米国コロラド州)およびACUHO-I(米国オハイオ州)の実施訪問調査を遂行する計画である。これにより、ACPAにおける近年の学生支援をめぐるい評価、アセスメントの動きをはじめ、広く米国の学生支援でいかなる理念やモデルなどが見られるのかも総括的に議論を進めていきたい。具体的な研究成果として、学術論文や全国学会、各種研究会等で研究成果の公表の機会を積極的に持てるように努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由として、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響等により当初から計画している米国学生支援の専門職団体における実地訪問調査が計画通り遂行できていないことが挙げられる。 引き続き、渡航先である米国の感染状況を注視しながら、また、先方の都合等を配慮しながら実地訪問調査で主に使用していくことを計画している。
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