研究課題/領域番号 |
18K13206
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
寺本 淳志 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (70713345)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 先天性筋疾患 / 乳児重症型 / コミュニケーション / 教育的支援 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は乳児期発症重症型先天性筋疾患児に対する、意思表出手段の獲得のための支援に留まらない系統的な教育的支援の在り様を検討することである。そのために、(1)質問紙調査により全国の当該疾患の児童生徒に対する教育の現状及び担任らの意識を明らかにすること、(2)保護者への面接調査により、当該疾患児の育ちのプロセスに関する知見を蓄積すること、(3)継続的な教育的係わり合いの実践資料を蓄積し、その実相を明らかにすることである。 本年度は新型コロナ感染症の影響により予定していた(1)(2)についてアンケート調査及び面接調査を中止せざるを得なかった。(3)に関して、福島県立須賀川支援学校への訪問も実施できず、また、学校の授業も教員による病棟への立ち入りが禁止等の措置が取られたため、実践的な知見の蓄積は得られなかった。筆者自身による実践については、コロナの影響でテレビ会議システムを導入し遠隔での教育的支援を行った。対象児は文字による表出が限定的であることが課題であったが、カメラ越しでのかかわりとなったことで、筆者らの求めや活動内容に合わせて文字による表出の拡大が見られた。対象児にとって表出する必然性のある場面設定や活動内容設定の重要性が示された。 今後、本年度更に実施が遅れてしまった(1)に関するアンケート調査を各校への配慮の上で実施するとともに、(2)について追加のインタビュー調査を実施する予定である。最終年度としてこれらの調査の分析を行い、研究全体のとりまとめを行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究計画書においては(1)の目的に対応する質問紙調査を初年度に今年度実施予定であったが、質問紙作成の遅れに加え、新型コロナ感染症に伴う各校の状況を勘案し、実施を見送ることになった。(2)の目的については、1名のインタビュー調査を予定していたが、遠方の対象者であるため、新型コロナ感染症の状況を鑑み、実施を自粛せざるを得なかった。(3)の目的に関しては、福島県立須賀川支援学校の対象児について、昨年度はインフルエンザ等の発症などにより、実施が滞り、さらに本年度は新型コロナ感染症により筆者による訪問に加え、担任教師による授業の実施も制限されたため、データの蓄積は遅れてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度も令和2年度同様、新型コロナ感染症の影響により、(1)に関する質問紙調査(2)のインタビュー調査、及び(3)の教育実践の実施にすでに影響が出ており、現在推移を見守っているところである。 (1)については、昨年度と比べ学校での対応も少し落ち着きつつあると考え、調査の実施を予定している。(2)については、対象者に遠隔でのインタビューの実施を依頼し、実施する予定である。(3)に関して、須賀川支援学校での実践については、現時点では時間や回数の制限はあるものの、病棟での授業も再開されており、更なるデータの蓄積を依頼している。学校との事例検討やデータ分析についてはテレビ会議システムを用いて実施する予定である。須賀川支援学校の対象児に対する筆者自身による訪問は、実施の目処が立たないため本研究においては実施しないこととした。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度質問紙調査を実施することができず、関連する調査用紙や封筒の代金、印刷費などが残額として生じることとなった。今後、調査を実施する際にそれらの費用として使用する。
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