研究課題/領域番号 |
18K13212
|
研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
稲田 尚子 帝京大学, 文学部, 准教授 (60466216)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 幼児 / クラスワイド / 集団随伴性 / 視点取得 |
研究実績の概要 |
2021年度は、幼児に対して、集団での朝の会の場面で先生のお話を聞く姿勢(着席行動)を習得するために、クラスワイドで実施できるプログラムを開発した。他者視点の取得を早期から促し、また、全身を使って話を聞くことを伝えるために、「身体全部を使って話を聞こう」というモンスターキャラクターを用いた紙芝居を作成した。幼稚園の年少クラスの幼児(19名)に対して、朝の会の先生のお話の時間10分間についてビデオ録画を行った。介入は、ABCデザイン(ベースライン、紙芝居を読む介入、集団随伴性を用いた介入)で、適切な着席行動をしている幼児の数を15秒間隔の瞬間タイムサンプリング法で評価した。全体の30%について評定者間信頼性を確認した。ベースライン時と比較して、紙芝居を読む介入段階では大きな変化はみられなかったが、紙芝居と集団随伴性(適切な着席行動ができていたら、お話の時間の後にお楽しみ活動)を用いた介入段階では、適切な着席行動をしている幼児の割合が増え、その効果がみられた。実施した担任の先生からも、プログラムの実行のしやすさ、子どもの着席行動の変化の実感を感想として伝えられ、社会的妥当性も確認できたと考えられる。 クラス全体に対しては、他者視点の取得を促しつつ、お話を聞く際の着席行動を改善するための有効なプログラムが開発されたが、一部の幼児に対してはあまり効果が示されなかったため、クラス全体の介入に反応しない幼児に対する個別の介入を含めた段階的な支援パッケージを検討する必要性が示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度は、幼児に対する着席行動の改善のためのプログラムを実施し、その効果を確認できた一方で、新型コロナウィルス感染拡大の持続により、2020年度に開発したプログラムに関しては、支援施設における自閉スペクトラムのある児童に対する対面での小グループでの実践を予定し日程調整したものの、最終段階でコロナ禍による感染拡大によって、実施が困難であると判断され、実施を見送った。当初の予定から研究は遅滞している。
|
今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルスの感染拡大により、対象をニーズのある児童に限定するのではなく、幼児も対象とし、クラスワイドな研究とその中での段階的支援をしていくように研究方法を拡大し、当初の研究目的を完遂できるように尽力していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究の遅滞により、研究を延長して2022年度を最終年度とし、2022年度は、学会発表およびその旅費、論文の英文校閲費等、主に研究発表のために使用する。
|