本研究では、コミュニケーションに困難のある児童生徒の個人差を明らかにするとともに、コミュニケーションを促進する働きかけを明らかにすることで、個人間の相互作用という観点からより個別のニーズに合った支援方法の提案を目指すことを目的とした。2019年度も、言語理解を促進するような支援者の言葉かけの特徴を明らかにすることを目的として、コミュニケーションに困難のある児童生徒を対象とした個別支援を継続的に行った。支援は学習支援の一環として実施しており、その様子をビデオ撮影した個別支援場面についての分析を進めた。また、コミュニケーションに困難のある児童生徒の個人差を明らかにすることを目的として、発達障害の要支援度評価尺度(Multi-dimensional Scale for PDD and ADHD ; MSPA)を用いて、幼少期からの特性の評価を行い、事例を蓄積した。学習の困難を主訴として相談に来られるケースにおいても、コミュニケーションに何らかの困り感を持つケースが多くみられた。自閉症スペクトラム障害の評価に用いられるADOS-2(Autism Diagnostic Observation Schedule Second Edition)についても実施し、自閉症スペクトラムの症状の程度との関連についても検討を進めた。さらに、コミュニケーション支援に関する資料収集を引き続き行った。
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