先行研究で行動データに明確な差が存在する、発達性ディスレクシアを持つ小児において視覚情報が音韻化される過程および言語情報の意味の脳内処理過程が、定型発達児とは異なることを脳活動を用いて示すため、従来のfMRI研究で用いてきた脳活動の差分を解析するunivariateの解析手法ではなく、ボクセルが持つ様々な情報を用いて活動パターンをmulti-variateに解析する手法(MVPA)を用いて、与えられた刺激の条件を判別できるかどうか検討し、fMRI課題を作成して脳MRIの撮像を行った。 しかし、定形発達小児30名とディスレクシアを持つ小児20名のデータを取得した段階で、新型コロナウイルス感染拡大の影響で実験協力者の募集を停止せざるを得ない状況になった。そのため、研究期間終了時までに、当初予定した解析に必要な、定形発達児と同数の30名の発達性ディスレクシアのMRIデータを収集することができなかった。研究期間は終了したが、R3年度から一部本研究内容を引き継いだ科研基盤Bの研究が開始されるので、コロナ禍終息後にMRIデータ取得を再開し、MVPAを用いたfMRIデータによる視覚情報が音韻化される過程の検討を行う予定である。 発達性ディスレクシアに特有の視野内の空間周波数特性を検討するための調査等は、継続して実施し、発達性ディスレクシアのサブタイ プの存在について検討するため先行研究を洗い出し、サブタイプ検討のための要素を整理した。 安静時脳活動を用いたディスレクシアの判別については、基礎データの収集と累積を行うことができた。H29年度まで研究期間だった基盤Cで取得した安静時脳活動のデータを用いて、機械学習の手法を応用してディスレクシアの判別可能性を検討した。それを基に、本研究期間で収集した安静時の脳活動データを用いて発達性ディスレクシアの判別を行えるかどうかの検討を行った。
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