研究課題/領域番号 |
18K13219
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
野田 航 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (70611440)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | データに基づく意思決定 / カリキュラムに基づく尺度 / Response to intervention / プログレス・モニタリング / 算数 |
研究実績の概要 |
2018年度は,算数分野の基礎的学業スキルに関するデータマネジメントシステムの開発に関する検討を行った。アセスメントツールとしては,カリキュラムに基づく尺度(curriculum-based measurement; CBM)をこれまで開発してきたが,まだ検証されていなかったCBMの信頼性(再検査信頼性,代替形式信頼性)の検証を行った。公立小学校1校の1年生から6年生546名を対象として算数CBM(大小比較,数系列,足し算,引き算,掛け算,割り算,足し算&引き算,四則混合の7種類)を実施し,データを分析した。再検査信頼性を検討するために,1回目の算数CBM課題の実施の1週間後に同じ課題を再度実施し,その得点の相関関係について分析した。また,代替形式信頼性を検討するために,同じ難易度であると想定される算数CBM課題を2種類実施し,その特典の相関関係について分析した。分析の結果,開発した算数CBMは十分な再検査信頼性および代替形式信頼性を備えていることが明らかとなった。 算数CBM自体の信頼性・妥当性についての検証が終了したため,CBMを学校現場で実施できる「データに基づく支援システム」の構築に向けて,採点・データ入力から結果の出力,その後の意思決定をサポートするアプリケーション開発に取り組んだ。アプリケーション開発については,業者と内容について検討しながらまずは採点を自動化できるアプリケーション開発に取り組んだ。しかし,画像認識技術を必要とする採点アプリケーションについては,業者の開発にかなりの時間がかかり,年度内にはプロトタイプの試作版の開発にとどまった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
データマネジメントシステム開発のための業者のアプリケーション開発作業が想定よりも難航しており時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
アプリケーション開発に関しては,2018年度とは異なる業者(エンジニア)にも相談する等,対応を検討している。採点アプリケーション開発がどの業者でも困難(時間的にも費用的にも)であると判断した場合には,データ入力および出力,意思決定に関する部分についてのアプリケーション開発に切り替えるなども検討する。 アプリケーション開発が想定よりも少し進行が遅れているため,教育現場でのデータに基づく意思決定の実践研究については並行して行う。現在,公立小学校の特別支援学級の児童や放課後等デイサービス利用者に対して研究協力者募集を進めており,2019年度内には算数CBMを用いてデータに基づく支援を実施しその効果検証を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
業者へのアプリケーション開発について予算を計上していたが,開発検討段階において当初の予定よりも限定した内容についてのアプリケーション開発となり,一部予算が残った。 次年度は,遅れているアプリケーション開発について,複数の業者と検討するなどより効率的に研究遂行が可能なようにする。
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