研究課題/領域番号 |
18K13220
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
丹治 敬之 岡山大学, 教育学域, 講師 (90727009)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 読み書き発達 / 縦断研究 / 認知的規定因 / 家庭環境 / 早期支援 / 効果検証 |
研究実績の概要 |
本年度は、年長児からの追跡調査4年目を実施した。小学3年生の読み書き課題と認知課題、および家庭での読み書きの様子と読み書き環境について調査を行った。新型コロナウィルスの影響もあり、参加人数が縮小しながらも、感染症対策を十分に講じ、小学校および保護者への同意を得て実施した。以下の2点について分析を進めている。 (1)ひらがな、漢字の読み書き能力の認知的規定因の分析 年長から小学1~3年生までのひらがな、漢字の読み書き発達の軌跡と、それを予測する認知能力とは何かについて分析している。現在、小学1年生のひらがな、漢字の読み能力を予測する認知能力を明らかにし、その成果が「Reading and Writing」に掲載された。現在は、小学2~3年生の分析を進めている。 (2)子どもの読み書きと家庭での読み書き環境との関連 年長から小学1~3年生までの読み書きと、家庭での読み書き環境がどのような関係性を有するのかを分析している。現在、年長から小学2年生の子どもの読み(ひらがな、漢字)と家庭での読み書き環境(親が読み書きを教える頻度、読み聞かせの頻度、読書環境(例:本屋、図書館)へのアクセス頻度等)の関係を分析した結果、特に就学前後では親の読み書きを教える頻度は、子どもの読み成績と高い負の相関があることが示された。つまり、親が読み書きを教える頻度は、子どもの読み能力に影響を受けていることが示唆された。この結果は、欧米圏や他の言語圏でも同様の知見が数多く報告されており、日本の文化・言語においてもその知見が支持される可能性が示された。 しかし、読み書きの学習に困難のある子どもの早期支援教材や指導法開発については、新型コロナウィルスの影響もあり、十分な実践研究に着手できていない。今後、読み書き困難児への有効な早期支援教材や指導法の開発について検討していくことが課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの影響で、参加者の減少や規模の縮小がありながらも、就学前から小学3年生までの縦断調査を実施することができた。一方で、読み書き困難児のための早期支援教材および指導法開発については十分に取り組めていないため。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルスの状況に鑑みながら、読み書きに習得困難のある年長児、または小学1~2年生とその保護者を対象に、ひらがなの読み書き、または漢字の読み書き習得に向けた有効な教材・指導法開発に取り組み、その効果検証を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
読み書きの学習に困難のある子どもを対象にした実践研究が十分にできていないため、その教材開発および指導法開発、ならびに実践研究の遂行に係る費用として使用予定である。
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