研究課題/領域番号 |
18K13222
|
研究機関 | 高崎健康福祉大学 |
研究代表者 |
村田 美和 高崎健康福祉大学, 人間発達学部, 講師 (00756330)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 学習障害 / 英語 / 読み書き |
研究実績の概要 |
本年度は、小学校で英語の読み書きにどのようにつまずくのか、小学校の担当教諭及び小中連携を担当している中学校教員からの報告を収集するとともに、授業の形式や授業の中で課される課題と困難さとの因果関係について観察を行った。特に中学校教員は、英語の専科として中学1年生の様子をよく知る立場から、小学校での指導の重要性を理解した上で、小学校の授業を小中連携の立場から補助してきているため、小学校での様子と課題が浮き彫りになった。複数の小学校の6年生の授業の様子を比較すると、指導側の問題点として、英語の苦手意識が強い教員が英語への嫌悪感をあらわにしながら授業を行う、ALTに授業の構成から実施まで任せる といった課題が浮き彫りになった。また子どもに実施したアンケートからは、小学校6年の時点で、英語の好き嫌いが分かれており、特に読み書きにつまずきのある児童は、既に「嫌い」と回答している傾向が高いことも明らかになった。読み書きに苦手さのある児童のフォロー以前に、小学校の英語教育全体のフォローが必要なのではないかと感じられる状況であった。 また、読み書きが苦手な小学生の英語特性について、事例をもとに検討を行った。参加した、重篤なLD児は、英語を含む読み書きに対する拒否反応が非常に強く、英語学習に向き合うことができない状態であった。その様な児童に対しては、CLILの要素を取り入れ、児童の興味のある理科の科目に結びつけて指導を展開することで、英語に少しずつ触れていくことができるという成果も得られた。 以上の様に、英語のつまずきの要素の多様性について、本年は一歩前進させることができたと考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年度末に予定していたアセスメントテストや学会発表が、COVID-19により実施できず、新年度も学校の休校が続いているため、計画通りに進められていない部分がある。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は最終年度として、小学生の英語学習初期段階での読み書きの困難さの要因が、勉強不足によるものか、認知特性からくるのかについて判断するための評価課題について仕上げの段階に入る。ここでは、これまでに収集した国内のデータに加え、小学校入学時アセスメントを実施している英語圏の小学校の様子を参考に、英語圏における既存の検査の情報収集を行い、開発に結びつけていく。 COVID-19の影響でやり残していることが、どの程度本年度実現できるか、やや計画が立てにくい部分はあるが、本研究は今後の子どもの英語教育に欠かせない研究であると考えているため、何とか推し進めて最終年度の形にしていきたいと考えている。 当初の予定では、子どもの個々の特性に着目していく予定であったが、これまでの研究より、英語という教科の特性上、教員の要素も少なからず関わっている可能性が示唆されてきている。根本には個々の特性があることに変わりはないが、学校の環境や、どの様に教えてもらってきたかなどの環境的な要因についても、複合的に評価に盛り込めるように、最終年度にまとめていきたいと考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
人件費を使ってデータ分析を行う予定であったが、諸事情によりそれを実施することが困難であった。また、予定していた国際学会への渡航がCOVID-19により中止になったため、そのあたりの予算が次年度に回された。
|