公立の小学校2校に在籍する児童生徒に対して、本研究を実施した。英語の読み書きにつまずいている小学生の特性について評価し、その状態について検討した。アルファベットの読み書き、ローマ字の読み書き、漢字の書きについて、評価課題を作成し実施した。またURAWSSⅡを用いて日本語の書字速度を計測し、日本語との関連について分析した。 5~6年生122名のアルファベットの書きに着目し、得点が学年平均-1.5SD未満の児童を抽出した。抽出された13名の児童の内、各項目の延べ人数を見ると、6名が漢字の書きにおいても-1.5SD未満の成績であった。また6名がローマ字の習得においても-1.5SD未満の成績であった。また、書字速度が-1.5SDだった児童が2名、他に何も-1.5SDの課題がなかった児童が2名という結果であった。アルファベットの書きに関しては、漢字の書き及びローマ字の読み書きとの相関が有意に高く、一方で書字速度に関しては、相関が低く、書字速度に関しては、音韻に起因するアルファベットと異なる要素を含む可能性が示唆された。 本研究結果より、英語の読み書きでつまずきのある児童生徒は、通常学級の中にも在籍していることが明らかになった。またその背景として、日本語との関連からも、そのつまずきは努力不足によるものではなく、認知特性によるものである可能性も示唆された。また、漢字のつまずきは、アルファベットの書きと高い相関があったため、漢字の書字のつまずきが、アルファベットの書きのつまずきを予測するための一つの指標となる可能性が示唆された。また、ローマ字や書字速度など、既に獲得している日本語の読み書きと併せて評価することで、英語のつまずきの可能性について、予測できる可能性が示唆された。
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