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2020 年度 実施状況報告書

発達障がい児における学習・運動・神経基盤の変容過程解明による学習支援科学の構築

研究課題

研究課題/領域番号 18K13225
研究機関早稲田大学

研究代表者

大森 幹真  早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (50779981)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード読み / 書き / 視線機能 / 英単語学習
研究実績の概要

本研究では定型発達児と発達障がい児を対象に,学習段階を連続的に捉えた移行促進的学習支援を行い,読み書き学習の獲得・段階の移行過程に付随した「読む」「書く」「見る」行動の変容を解明し,学習支援科学という融合領域を構築することを目的とした。2020年度の研究実施状況は以下の3点であった。①文章の読み理解向上に付随した視線パターンの変容の再分析:昨年度,同内容のものを国際誌に投稿したところ,再度修正後再査読の結果を得た。訓練効果の有用性は強く支持されたが,視線機能については再解析を求められたため,再解析を行い,修正稿を投稿中である。②言語間での視線機能分析:発達障がい児を対象に,有・無意味な英語と日本語の文章音読時における視線機能を計測した。その結果,有意味な文章に比べて,無意味な英語文章の音読時に視線停留回数が有意に多くなり,英語における音韻意識の獲得に伴う視線機能の変容可能性について示した(大森, 2021 3月, 発達心理学会)。③見る行動を基盤にした学習困難児への英語学習支援方法の開発:英単語の聞き取り書字が困難な中学生に対して,英単語を構成する音素・フォニックスを時系列的に提示し,観察や音声模倣を求める介入訓練を行った。音素等の組み合わせを学習したことで9単語の訓練から62単語の聞き取り書字が可能になったことを明らかにした。その成果は既に特殊教育学研究に投稿し,修正再査読の結果を受け,修正稿を執筆中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

学会発表を1件行い,日本語・英語論文も各1本ずつ執筆し,2本とも査読後の修正中であるため。
読み書き学習の変容に付随した視線機能の変容が徐々に明らかにされてきた。昨年度に解明した画面注視割合や視線逸脱回数等の数値化から,視線機能データを介入訓練の基盤へと移行が可能となった。一方で,異動に伴う研究環境の変容や倫理申請,さらには新型コロナウイルス感染症の拡大により,対面による研究の実施に時間がかかったことにより,本年度は研究の進捗が若干遅れた。

今後の研究の推進方策

研究の推進方策としては,前年から引き続き,読み書き困難評価研究と移行促進型学習支援研究を継続して実施し,研究のまとめに入る。新型コロナウイルス感染症の影響を鑑みた形式での研究倫理申請は承認済みであり,安全面や感染拡大防止に最大限留意しつつも新規の研究募集を行っている。その上ですでに新規研究参加希望者からの応募が10件程度ある。
研究再開時の研究を遂行する上での問題点は,視線追跡装置(Tobii)を用いての測定の際に,文字刺激の読み書きを行うため,疲れや嫌悪感を示す場合がある可能性がある。その際には課題間に適宜休憩を挟み,課題を実施する。1つの課題は研究協力者の読み書き速度にもよるが,8分以内には終了するように課題構成をしている。また,標準化検査の実施が想定よりも長くなってしまう可能性がある。その際にも実施を焦らず,15分を目安に休憩を挟みながら,検査を実施する。研究協力者と保護者の希望がある場合は,課題や検査ともに途中で中断し,再度ご来所頂いたうえで研究を再開出来る旨を事前に伝える。その上で,研究協力者や保護者の安全を最大限配慮した上で実施することとする。マスクやフェイスガードの着用や,実施場所の換気,使用機器の消毒による除菌に務める。

次年度使用額が生じた理由

異動や新型コロナウイルス感染症の拡大により,新規参加者への謝金や近郊地への出張によるデータ取得の費用、学会参加にかかる諸費用が、次年度使用額として生じた。そのため次年度使用計画として、遠隔地への出張によるデータ取得費や研究協力者謝金、さらには英語論文校閲費やとして使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 発達障がい児における日本語・英語音読間での視線機能の比較2021

    • 著者名/発表者名
      大森幹真
    • 学会等名
      日本発達心理学会 第32回大会

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公開日: 2021-12-27  

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