研究課題/領域番号 |
18K13233
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
奥村 安寿子 一橋大学, 森有礼高等教育国際流動化機構, 日本学術振興会特別研究員(PD) (60749860)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 英語 / 読み書き困難 / 音韻意識 / 発達性ディスレクシア / 検査開発 |
研究実績の概要 |
令和2年度は、新型コロナウィルス感染症拡大の影響により、新たなデータ収集ができなかった。そのため、令和元年度末に収集した、一般中学生(1-3年生、計629名)および発達性ディスレクシアのある小学6年生(12名)の解析を進め、音韻意識検査(The Phonological Awareness 2、PAT2)と基礎的な読み書き課題に基づく、英語読み書き困難の評価法を検討した。その結果、アルファベット大文字の書き取りは、一般中学生は約90%が満点であったのに対し、中学校入学直前のディスレクシア児は11/12名が習得不完全であった。このことから、大文字の書き取りは、英語読み書き困難に対する第一段階のスクリーニングとして有用であることが示された。音韻意識検査については、本研究課題の開始以前に口頭・個別形式で実施した日本語母語成人の結果と、筆記・集団形式で実施した中学生の結果に大きな相違のないことが示された。加えて、筆記・集団形式の音韻意識検査は、小学校6年生のディスレクシア児でも問題なく実施できており、小学校段階からクラス単位で適用可能な、英語音韻意識の評価手法が確立された。 音韻意識検査では、使用した4種類の課題で、中学生における難易度や成績分布が大きく異なることが示されており、それぞれに基準値やカットオフを設定する必要がある。一般中学生では、英単語の読み書き、および英単語検索のデータも取得しているため、集団形式の音韻意識検査と他の課題を効果的に組み合わせた判定プロトコルを作成することで、英語読み書き困難を高精度かつ普遍的に評価し、予測できるようになることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
英語読み書き困難の評価手法については、これまでに収集したデータから順調に検討が進んでいる。しかし、本研究課題の目的である小学生への実装は、調査の実施自体が困難な状況となっているため、当初の計画よりも遅れている。したがって、課題全体の進捗状況としては、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度の研究で確立された、筆記・集団形式の音韻意識検査を小学生に適応し、アルファベットなどの基礎的な読み書き課題とともに、データ収集を進める。その結果を基に、すでに英語学習を行っている中学生との差異を検討し、小学生・中学生の各段階に適切な基準値や判定方法を確立する。ただし、小学生を対象とした学校・学級単位のデータ収集が難しい状況が続く場合は、個別検査による発達性ディスレクシア児のデータ収集を主に進め、読み書き困難が顕在化している児童・生徒の実態を踏まえた、評価・予測プロトコルの作成を進める。 また、令和3年度は本研究課題の最終年度にあたることから、これまでの研究成果をまとめ、国際誌を中心に論文投稿や成果発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度は、新型コロナウィルス感染症の拡大により新たな調査やデータ収集を行うことができなかった。そのため、計上していた物品費、旅費、謝金等を使用する機会がなかった。これらは、令和3年度に調査やデータ収集が実施可能となった際に使用する。また、令和3年度は最終年度であるため、成果発表に係る英文校閲、投稿料、オープンアクセス費用等に使用することを予定している。
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